白樺文学館の沿革
白樺派の中心人物の一人であった柳宗悦が、新妻の兼子と手賀沼のほとりの叔父の嘉納治五郎の別荘地前にあった母親と姉の隠居所跡に移住したのは1914(大正3)年の秋でした。続いて翌大正4年に柳の強い誘いで志賀直哉・康子夫妻、1916(大正5)年には志賀の生涯の友である武者小路実篤・房子夫妻など、相次いで白樺派の仲間が住むようになります。白樺派文人たちは、この手賀沼の美しい自然からエネルギーを享けて、我孫子の地で創作活動を大きく発展させました。
白樺文学館は、佐野力氏によって、この白樺派文人たちの活動を広く次代に伝えるため、建設されました。
白樺文学館の開設~我孫子市に寄贈~我孫子市運営開始の経緯
2000(平成12)年
2月18日
白樺文学館起工式が執り行われました。
2001(平成13)年
1月11日
開館セレモニー(竣工式) が開催されました。
1月19日
基本構想から資料集めなど、中心的に関わっていた館長の武田康弘氏と数人のスタッフで、一般公開が始まりました。
9月1日
白樺文学館オーナーの佐野氏が武田氏に代わって、館長職に就き、副館長に渡辺貞夫氏が就任しました。
2007(平成19)年
11月1日
佐野氏が市へ白樺文学館の寄附の意向を示し、寄付に際し、特に我孫子で大きく発展した白樺派文学を次代に伝えてほしいとの思いから、市との1年間の共同運営が提案されました。
2008(平成20)年
4月1日
白樺文学館と市の共同運営を開始しました。
10月6日
佐野氏から市長へ寄付の申出書が提出されました。
11月25日
市長が佐野氏に寄付受入書を提出しました。
2009(平成21)年
3月24日
我孫子市白樺文学館の設置及び管理に関する条例を制定しました。
4月1日
市が我孫子市白樺文学館の管理・運営を開始しました。
佐野氏が運営した8年間の活動
白樺文学館は、白樺派文学や民藝活動を展示等で紹介するだけでなく、多彩な講演会活動を展開しました。
2001年9月から2008年10月までに、阿川弘之氏をはじめとする著名作家、白樺派文学及び民芸運動の研究家のほか、地元郷土史研究家・陶芸家・音楽家など多分野にわたる著名講師を招聘して、月例の講演会および研修会を延べ80数回開催しました。
また、開館8周年記念講演会として、2009年1月25日に開催されました浜美枝氏による講演会「民藝と私」が最後の講演会となり、500名を越すお客様で満員の盛況にて終了しました。
我孫子在住時代の志賀直哉と、隣家津川家他地元在住の皆様との交流は、作品の中で描かれている他、知られざる交流秘話として、ボランティアスタッフによるフィールドワークの結果を報告書にまとめ、私家版として作成しました。
以上の活動を十数名のボランティアスタッフが、年間5000人の来館者に、我孫子と白樺派についてのご案内とご説明を行いました。
寄贈いただいた佐野氏の思いを目標にして、多くの方に来館いただくよう運営を進めてまいります。