命を守る「ゲートキーパー」とは?(研修動画あり)
あなたが救えるかもしれない命があります。まずは、声をかけることから始めてみませんか。
生活困窮や過労など様々な要因が複合し、追い込まれた末に至る自殺を未然に防ぐためには、多くの方々にゲートキーパーの役割(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話をきいて、必要な支援につなげ、見守る)を心がけていただき、身近な人の不調に気づく、幅広な防護壁を築いていくことが大切です。
仕事や家庭などで普段接している人が、何か悩んでいるように見えたら、
あなたもその日から、ゲートキーパーです。
「眠れていますか」「つらそうだけど、どうしたの」など、まず、声をかけることから始めてみませんか。
ゲートキーパーには、特別な資格は必要ありません。
ゲートキーパー研修動画
身近な人の悩みに気づく、それがゲートキーパーの第一歩です。この動画では、身近な人の悩みへの気づき方、また自殺の原因の一つであるうつ病について講義します。
ゲートキーパーとしての話の聴き方は普段の会話とはまた違ったコツが必要です。話の聴き方、なぜ傾聴が大事なのかを講義します。
ゲートキーパーとして身近な人の悩みに接する上では自分のセルフケアも大切です。身近な人を支えるコツを講義します。
ゲートキーパーに関するリンク
「ゲートキーパー~こころのサインに気づいたら~」厚生労働省動画チャンネル(YouTube)(外部サイト)
命を守る「ゲートキーパー」とは?(厚生労働省ホームページ) (外部サイト)
「誰でもゲートキーパー手帳」(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)
自殺を考えている人の心理
自殺を考えている人の心理を知ることが重要です。
- 絶望感:「もうどうすることもできない」と絶望する気持ち。
- 孤立感:「誰も助けてくれない」、「自分はひとりきりだ」と孤独を感じる気持ち。
- 悲嘆:「悲しい」と思う気持ち。
- 焦燥感:「いますぐに何とかしないといけない」と焦る気持ち。
- 衝動性:切迫して、すぐさま自殺行動や危険行動をしかねない状態。
- 強い苦痛感:「苦しい」、「辛い」と思う気持ち。
- 無価値感:「生きる価値がない」、「生きる意味がない」、「自分なんかいない方がいい」と自分に価値がないと感じる気持ち。
- 怒り:他者や社会に対して強い憤りを感じる気持ち。
- 投影:自分の感じている気持ちを、まるで相手が感じているかのように考える。相手は本人が悪いとは思っていないのにもかかわらず、「どうせ私が悪いって思っているんでしょ」と考える等。
- 柔軟性がない考え方:幅広い視点で考えられず、「自殺以外に解決法はない」、「問題は解決できない」などと考えること。
- 否認:現実のことを認めることができない状態。
- 将来の希望がないという見通しのなさ:「どんなことをしても何もかわらない」、「この辛さはいつまでも続く」と考えること。
- 諦め:「もうどうなってもかまわない」、「もうどうすることもできない」とあきらめてしまうこと。
- 解離:普段の意識状態ではなくなり、今ある現実と考えや気持ちに断絶が起きている状態。「何をしたのか覚えていない」、「周りの状態に対して現実感がない」等。
- 両価性:「生きたい」という気持ちと、「死ぬしかない」という気持ちをゆれうごく状態。
- 自殺念慮:「死にたい」、「この世からいなくなりたい」など自殺するしか解決する方法はないという考え。
(内閣府「ゲートキーパー養成研修用テキスト(第3版)」より)
ゲートキーパーの役割
ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人のことです。
悩みを抱える人の周囲の人は、誰でもゲートキーパーの役割を担っています。
気づき
うつ、借金、過重労働、就活、身体の病気など、生活の変化は悩みの大きな要因となります。
悩みごとを自分から打ち明けることができず苦しんでいる人もいます。
変化に気づいたら、声をかけたり、話を聞くようにしましょう。
傾聴
本人の気持ちを尊重し、言いたいことや悩みに耳を傾ける姿勢をいいます。
本人を責めたり、否定したり、安易に励ましたりすることは「追い込む」ことになるので避けましょう。
つなぎ
必要としている支援を受けられる窓口、あるいは医療機関へ適切につないでいくことが大切です。
悩んでいる方の抱える問題に応じて、相談窓口につなぎましょう。
市及び関係機関では、様々な相談窓口を設けています。
悩みを抱えている方や、周りに悩んでいる方がいることにお気づきの方は、ぜひご案内をお願いします。
悩み別 相談窓口情報等を紹介するサイト(厚生労働省ホームページ)(外部サイト)
こころの健康、悩みなどの相談窓口(千葉県ホームページ)(外部サイト)
見守り
悩みを抱える方に対し、気づき、声をかけ、話を聴き、相談窓口につなぐという支援を繰り返すことが見守ることになります。
相談窓口につないだ後も、必要があればまた相談に乗ることを伝え、温かく見守りましょう。
悩みを抱える方にとって、自分のことを気にかけてくれるゲートキーパーの存在が、大きな支えとなります。
(内閣府「ゲートキーパー養成研修用テキスト(第3版)」より)
ゲートキーパーとして気をつける点
自ら相手とかかわるための心の準備をしましょう
「今から相手の話を聴く」という心の準備をすることが大切です。
心の準備ができていないと、相手の話に動揺したり、拒絶するというような不適切な対応をとってしまう場合も少なくありません。
温かみのある対応をしましょう
悩みを抱えている人は苦労を抱え、辛い状況に陥っているため、穏やかで温かみのある対応が原則です。
温かみのある対応は、困難を抱えている人の大きな支援になります。
真剣に聴いているという姿勢を相手に伝えましょう
相手にしっかりと向きあう、相手の話に相づちをうつ、などこちらが真剣に聴いているという姿勢が相手に伝わることが大切です。
相手は支援者の聴く姿勢により、悩みを話すことが促され、安心して悩みを話すことができるようになります。
相手の話を聴きましょう
最初に話を聴く場合には、相手が体験したことや考えていること、感じていることを十分に聴きましょう。
正しいかどうか、良いか悪いかを判断したり、批判はしないようにしましょう。
「話を聴くだけでは何もならない」と感じる支援者もいますが、傾聴は危機にある人への最大の支援です。
「話を聴いてもらうだけで安心した」とおっしゃられる方も多いです。
ねぎらいましょう
話をしてくれること、死にたい気持ちを打ち明けてくれたことをねぎらうとよいでしょう。
たとえ本人の失敗から至った困難でも、これまで苦労してきたことをねぎらうことが大切です。
心配していることを伝えましょう
悩んでいる状況を無視せずに、相手の状況を心配していることを伝えましょう。
わかりやすく、ゆっくりと話をしましょう
悩んでいる人はいろいろな感情が沸き起こるため、一度にまくしたてるような話は理解できず、また受け止められない場合があります。
穏やかな態度で、普段話すスピードの半分くらいのつもりで話すことが大切です。
相手の反応を見ながら、一言一言話すことも必要です。
一緒に考えることが支援です
一人で悩みを抱えている人は、孤独感や絶望感を感じているため、支援者が話をよく聴き、一緒に悩み、考えること自体が支援になります。
支援者の中には、「自分は支援など何もできない」と思う方もいらっしゃいますが、一緒に考えてくれる人がいることは、孤立を防ぎ、安心を与えます。
自分が相談にのって困ったときのつなぎ先(相談窓口等)を確認しましょう
全ての問題を解決できる支援者はいません。
どこに相談したらよいか、地域の相談窓口等を事前に確認しておくとよいでしょう。
支援者自身の健康管理、悩み相談も大切です
支援者自身が安心して暮らせることも大切です。
また、日頃から健康面にも注意を払いましょう。
休養や日頃のストレス対処も大切です。
自らが困ったときには信頼できる人に相談しましょう。
(厚生労働省「誰でもゲートキーパー手帳第2版」より)