2018(平成30)年第1回我孫子市議会定例会 施政方針
この施政方針は、2月26日の平成30年第1回市議会定例会の冒頭で市長が述べたものです。
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はじめに
平成30年第1回市議会定例会の開会にあたり、30年度の施政方針を申し上げます。
30年2月1日に、我孫子市の人口は昨年同時期に比べ、224人減の13万2,322人となりました。29年に我孫子市で生まれた子どもは年間770人、亡くなった方は1,267人と、自然減の幅は確実に広がっています。一方、社会増減では、外国人の増加により、転入者が転出者を上回っています。
これまで、市では、人口減少や少子高齢化に対応するため、「メディアミックス」による情報発信や交流人口の拡大を図るためのさまざまなイベントの実施、保育園の待機児童ゼロの堅持など若い世代が住みやすい環境づくりに努めてきました。また、ホームページや公衆無線LANの多言語化など、外国人にも住みやすい環境づくりに努めてきました。
このように、誰もが住みやすい環境をつくることが、人口減少に歯止めをかけるものと考えていますので、今後も、若い世代が子育てしやすい環境づくりをはじめとする定住化策や少子化対策、観光の振興、企業の誘致、雇用の創出など、定住人口だけでなく、交流人口などの拡大にもつながる事業に、引き続き取り組んでいきます。
30年度の予算編成については、経常的経費全般にわたり厳しい精査や調整を幾度も行い、削減に努めました。
歳入では、市の歳入の根幹である市税収入において、個人市民税や軽自動車税が増となるものの、法人市民税や固定資産税、市たばこ税が減となり、全体では減額となることを見込んでいます。一方で、景気動向を反映し、地方消費税交付金などの増を見込むとともに、地方債の活用や地方創生推進交付金などの国県支出金の財源確保に努めました。
歳出では、30年度から始まる3か年の第9期実施計画において、第三次基本計画に位置づけた5つの重点プロジェクトを中心に172事業を採択しました。30年度の政策的経費では、幼稚園と保育園の認定こども園移行への支援や第3子以降の給食費の全額補助など若い世代が子育てしやすいまちづくりへの取り組みと、はしご車等の緊急車両や小中学校の施設設備の更新、橋梁の整備など、市民の安全・安心を守るための事業を中心に124事業を採択し、実施していくこととしました。また、新クリーンセンターや駅施設の整備、水害対策などの事業を実施するため、財政調整基金や各種特定目的基金から約11億円の繰り入れを見込んでいます。
その結果、30年度の予算規模は、一般会計では、29年度より5億6千万円増の382億2千万円となりました。
厳しい財政状況ではありますが、事業の優先順位をしっかりと精査し、適切な財源配分に努めながら、まちに活力を生み出し、誰もがいきいきとくらせるような取り組みを着実に進めていきます。
重点プロジェクト1「手賀沼をはじめとする我孫子ならではの自然を大切にし、環境にやさしいくらしをはぐくむまちづくり」
首都圏にあって、豊かな自然に触れながら生活できる環境は我孫子の大きな魅力です。
定住人口を増やしていくうえで、住宅都市としての魅力を高めるためには、手賀沼をはじめとした我孫子ならではの貴重な自然を守り、育てていくことが欠かせません。
今後も、手賀沼の浄化や古利根沼の保全など、貴重な自然の保全・再生に市民の皆さんとともに取り組み、まちの魅力を高め、広く情報を発信していきます。
また、地球温暖化や生態系の破壊など、環境問題が深刻化しています。
一方、原発事故を背景に地球環境やエネルギー問題に対する市民や事業者の意識が一層高まり、省エネルギーや自然エネルギーへの取り組みが活発化しています。
市では、こうした市民や事業者の取り組みを促進するとともに、率先して温室効果ガスの削減に取り組んでいきます。
手賀沼の水質は、環境省発表の28年度公共用水域の水質測定結果によると、CODの年平均値は1リットル当たり8.6ミリグラムで、27年度の8.1ミリグラムから高くなり、全国ワースト順位でも7位から3位と後退しました。
今後も、「第7期手賀沼に係る湖沼水質保全計画」と現在千葉県で改訂作業を進めている「手賀沼水循環回復行動計画」をもとに、国や県、流域市と連携しながら、北千葉導水事業や自然系の汚濁負荷の削減などの浄化対策を進めていきます。
また、近年、手賀沼内に大量に繁茂している外来種の「ハス」や特定外来生物の「ナガエツルノゲイトウ」などの対策を図っていきます。
28年度からスタートした「あびこエコ・プロジェクト4」では、市の事務事業に伴う温室効果ガス排出量を、32(2020)年度までに26年度比で4%削減する目標を定めています。
28年度の温室効果ガスの総排出量は、基準年度に比べて3.2%増加となりました。
主な要因としては、27年から28年にかけて、全小中学校へのエアコンの設置やクリーンセンターでのごみの焼却量の増加があげられます。
そのため、節電やごみの減量化など、引き続き、市民・事業者の皆さんのご理解ご協力を得ながら、環境負荷の低減に向けた取り組みを推進していきます。
省エネルギー型照明の設置では、これまでに、自治会などが管理する街路灯約8,800灯がLED化されました。
市が管理している街路灯約4,500灯と合わせると、3月末までには市内にある全街路灯の約95%がLED化されます。30年度も、引き続き補助を行うとともに、LED化が完了している自治会などの街路灯については、31年度から市に管理を移管できるよう、関係機関と協議を進めていきます。
公共施設では、市役所東別館の照明をLEDに交換します。
また、稼働率が高く、老朽化により更新時期にある照明と空調設備を有する21施設において、低炭素設備を導入するための調査が1月に完了しました。
現在、調査結果に基づき、二酸化炭素の削減効果が高い設備を有する施設を選定するとともに、バルクリース方式による照明と空調設備の改修工事に向けた準備を進めています。
新クリーンセンターの整備では、1月に策定した「新廃棄物処理施設整備詳細計画」において、施設の整備内容を検討していく中で、環境影響評価での追加調査や境界確定の測量が遅延しました。
また、半年間の試運転を含めて、設計・建設に約3年3か月を要することが判明し、33(2021)年度中に稼働することは困難であることから、新廃棄物処理施設の稼働は、34(2022)年度末を目指すこととしました。
30年度は、29年度から実施しているリサイクルセンター整備詳細計画の策定を引き続き進めるほか、現在進めている旧溶融施設の解体工事による隣接施設への影響を確認するため、事後調査を実施していきます。
また、建設予定地の地歴調査において、土壌汚染のおそれがあるとの結果が示されたことから、「土壌汚染対策法」に基づき、土壌汚染の状況調査を実施していきます。
さらに、30年度から31年度にかけて、有識者を中心に構成する「新廃棄物処理施設整備運営事業者選定委員会」を設置し、施設の設計・建設・運営を行う事業者を選定するほか、施設整備・運営方法・事業者選定支援などを行うアドバイザリ業務を委託します。
重点プロジェクト2「我孫子の資源をいかし、豊かな地域を創りだす活力あるまちづくり」
まちを持続的に発展させていくためには、まちの活力を高め、元気にしていくことが必要です。
そのため、手賀沼をはじめとする自然環境や歴史的・文化的遺産など、我孫子ならではの資源を最大限に活用し、まちの魅力を高めて交流人口などの拡大につなげていきます。
また、新たな企業が進出しやすい環境づくりや起業・創業の支援などの産業振興をはじめ、地産地消を軸とした農業振興、手賀沼を拠点とした観光振興に取り組むなど、市民が安心していきいきと働ける場を創出しながら、地域経済の活性化につなげていきます。
さらに、さまざまな分野での市民活動を支援するとともに、市民や団体と連携を図りながら、地域コミュニティの活性化に向けた取り組みを強化し、地域の活力を高めていきます。
あびこの魅力発信では、引き続き、テレビ、ラジオ、インターネットなどを効果的に組み合わせた「メディアミックス」の手法により、「あびこ」の魅力を市内外に向けて情報発信していきます。
また、近年、増加しているベトナム人に向けた情報発信を充実させるため、30年度は、ホームページにベトナム語の自動翻訳機能を追加します。
家族連れや子どもたちに人気のある手賀沼公園のミニSLでは、更なる交流人口の拡大につなげるため、29年秋に行った人気投票を参考に、新たにミニ新幹線ドクター・イエローを導入します。
さくらプロジェクトでは、市民の皆さんからの寄附などにより、3月末までに、手賀沼公園や各地域の主要公園を中心に、約230本の桜の植樹を完了する予定です。
これで、さくらプロジェクトにおける植樹事業は、当初の目標を達成することになります。
今後は、これまでいただいた桜の健全な育成を図るとともに、ソメイヨシノの開花時期に合わせて、手賀沼親水広場近くの遊歩道の桜並木をライトアップするなど、市内外から訪れる多くの皆さんに楽しんでいただけるよう取り組んでいきます。
なお、毎年、「我孫子の景観を育てる会」が我孫子ゴルフ倶楽部で実施している市民観桜会が、例年より2週間遅い4月9日に開催されますので、ぜひ足を運んでください。
手賀沼親水広場の充実では、農産物の地産地消や環境保全型農業の推進と水環境保全の啓発活動を連携する取り組みを進めてきました。
6月のオープン以降、1月末まで約35万人の来館者を迎え、高野山新田地区での新たなにぎわいを創り出してきました。
さらに、魅力ある施設とするため、老朽化したじゃぶじゃぶ池の改修整備に向けて、引き続き設計を進めていきます。
水の館に併設してオープンした農業拠点施設の運営では、地産地消の推進と農業振興を促進するため、出荷登録農家と連携し、農産物直売所「あびこん」で販売する、安全・安心な我孫子産農産物の取り扱い量を増やす取り組みを支援していきます。
また、レストラン「米舞亭」は、今年の手賀沼遊歩道での桜のライトアップ期間中に、オープンデッキから夜桜を楽しむことができるよう、金曜日から日曜日までレストランの営業時間を延長します。
引き続き、我孫子産農産物の品揃えを充実するとともに、新たな加工品や魅力ある新メニューの開発などへの取り組みを支援していきます。
高野山新田エリアの農地活用では、高野山ふれあい市民農園跡地や水生植物園とその周辺農地について、10月に策定した「高野山新田地区利用構想」に基づき、農業公園的な活用を図ることで、交流人口の拡大につながる魅力ある拠点となるよう、取り組んでいきます。
30年度は、コスモスや菜の花などの景観作物を栽培するほか、散策や農業体験ができるよう具体的な整備に向けて地権者や関係団体との調整を行っていきます。
今後は、市民の皆さんの協力を得ながら、より一層魅力ある場となるよう検討していきます。
企業が進出・操業しやすい環境づくりでは、民間資本を活用した新たな産業用地を創出する可能性を探ることを目的に、9月下旬から市内の産業拠点検討調査を実施しています。
3月末までには、産業系土地利用における基本的な情報の整理や民間事業者へのヒアリング結果などを踏まえ、土地利用の可能性を評価し、本調査業務を完了する予定です。
30年度は、この調査結果に基づき、新たな企業の誘致や住工混在解消に向けた産業系土地利用について検討し、市の産業集積に関する方針の策定に向けた準備を進めていきます。
なお、今後の産業振興の充実を図るため、30年度から千葉県の企業立地課に職員を派遣していきます。
起業・創業の支援では、26年度から国の認定を受けた「我孫子市創業支援事業計画」に基づき、ワンストップ相談窓口をはじめ、創業塾や起業個別相談会、ビジネス交流会の開催、創業支援補助金制度の運用など、さまざまな施策を実施してきた結果、事業を開始した26年6月から27名の創業者が誕生しました。
引き続き、認定創業支援事業者であるNPO法人や我孫子市商工会などの関係機関と連携しながら、起業・創業者を支援していくほか、新たな取り組みとして、女性を対象とした交流会などを検討していきます。
観光の振興では、24年度に策定した「観光振興計画」が30年度をもって満了となります。
これまでの主な取り組みとしては、「手賀沼観光施設誘導方針」の策定をはじめ、我孫子市ふるさと大使の設置、嘉納治五郎別荘跡地の整備、手賀沼花火大会の再開、さくらプロジェクトなどのアクションプランを実施し、交流人口の増加につなげることができました。
30年度は、これまでの実績を評価・検証したうえで、今後の取り組みに向けた計画の見直しを行います。
手賀沼の夏の風物詩である手賀沼花火大会は、今年も8月4日に柏市と共同で開催する予定です。
企業等に協賛をお願いするほか、市民の皆さんにも募金に協力いただきながら、市内外の方々に楽しんでもらえる花火大会にしていきます。
我孫子新田地区の活用では、農産物直売所アンテナショップ跡地を「手賀沼観光施設誘導方針」に沿った観光施設として活用することを目指して検討を進めてきました。
その結果、土地活用の新たな検討手法の一つとして注目されている「サウンディング型市場調査」を取り入れ、当該地を有効活用する民間事業者を選定していくこととしました。
30年度は、この調査の特徴である民間事業者との対話を行い、事業提案や市場性の有無などを把握することで、より参加しやすい公募条件を設定し、事業者を決定できるよう進めていきます。
地域コミュニティの活性化では、これまでに久寺家、天王台南、天王台北、新木、我孫子北の5地区に地域会議が設置されています。
地域会議では、各地域の課題について、地域主体で取り組んでおり、これまでも多世代交流、防災・防犯、環境保全などについての解決策を提案し、成果を上げています。
地域会議が未設置の地域でも、既に地域での懇談会や交流会を実施していることから、こうした活動との連携も考えながら、引き続き、地域会議の設置を進めていきます。
旧井上家住宅の保存と活用では、28年度から3か年の予定で進めている二番土蔵の保存整備工事を、30年7月末の完成に向けて進めていきます。
また、工事期間中ではありますが、建物周辺の部分公開と新土蔵でのイベントを通じ、旧井上家住宅のPRに努めていきます。
重点プロジェクト3「みんなが安全にくらせるまちづくり」
私たちは、東日本大震災での課題を踏まえ、誰もが安全で安心してくらせるまちの実現に向けて、力を合わせていかなければなりません。
そのため、引き続き水害対策を進め、消防救急体制を充実するとともに、市民の皆さんと連携して、防災や防犯、危機管理、交通安全などに取り組み、市民が安全で安心してくらせる環境づくりを進めていきます。
防災体制の強化では、熊本地震や関東・東北豪雨の教訓等を踏まえて改正された関係法令や修正された県の地域防災計画に基づき、市の地域防災計画を修正します。
修正にあたっては、自助・共助・公助それぞれの役割の強化、警戒避難体制の整備、緊急避難場所などの指定、防災備蓄倉庫の位置づけなどを見直すことで、災害予防や災害対策を効果的かつ円滑に実施できるようにします。
防災備蓄倉庫の整備では、避難所となる全小中学校に、備蓄倉庫を順次設置しています。
30年度は、湖北台西小学校、並木小学校、湖北中学校、我孫子中学校、久寺家中学校の5校に設置します。
防災情報伝達システムの管理運用では、現行のJアラート受信機に対する国からの情報提供が30年度をもって終了することから、新型受信機に更新します。
また、Jアラートで受信した情報を、防災行政無線等へ接続するためのファクトリーコンピュータも更新し、市民への確実な情報提供を行います。
総合地震対策では、引き続き、下水道のマンホール浮上防止工事を行うとともに、30年度をもって満了となる「下水道総合地震対策計画」の次期計画を策定します。見直しにあたっては、マンホールトイレ設置に伴う優先順位を再検討します。
災害時の医療救護の強化では、初動体制の充実・強化を図るため、市内8か所の救護所に、備蓄医薬品等を順次配備しています。
30年度は、2か所目として我孫子聖仁会病院に配備します。
災害時の外国人への支援では、千葉県が、県内各地で実施している「災害時外国人サポーター養成講座」を我孫子市で開催します。
講座では、日本人向けに、災害時に外国人が直面する問題への支援や在住外国人への情報提供などをテーマとした講義などを行います。
外国人向けには、大きな地震が起きた時の対応などをテーマとした講義や非常食の体験などを行います。
さらに、日本人と外国人が一緒に参加する多言語支援センターの設置運営に向けた模擬訓練も行います。
この講座を通じて、外国人も安心してくらせるまちづくりを目指していきます。
空家対策では、空家等対策協議会の答申を受け、「我孫子市空家等対策計画」を2月13日に策定しました。
今後は、この計画に基づき、社会問題となっている空家等について、総合的かつ効果的に安全・安心な住環境の確保に努めていきます。
また、空家等の利活用施策の一つとして、市では「我孫子市空き家バンク」を設立します。
この空き家バンクは、国が構築・運営する「全国版空き家・空き地バンク」に登録し、若い世代の住宅取得補助や住宅リフォーム補助など、市が実施しているさまざまな施策とあわせて、空家等の情報を広く全国に発信するものです。
今後は、空家等の所有者に空き家バンクへの登録を促し、活用を希望する人に情報提供をすることで、空家等の流通を促進していきます。
防犯対策の強化では、これまで、市立保育園や小中学校、市内6駅の両駅口周辺の主要道路などに35台の防犯カメラを設置しました。
また、私立保育園・幼稚園、自治会など11団体が設置した28台の防犯カメラについて、設置費用の一部を補助してきました。
引き続き、犯罪の起こりにくい環境整備を進めるため、30年度は、柏市と印西市との市境に防犯カメラを設置するとともに、自主的な防犯活動をする団体等に対し、防犯カメラの設置費用の一部を補助していきます。
また、地域の防犯パトロール隊の皆さんへの貸し出し用車両をはじめ、青色回転灯を装備する全ての公用車10台にドライブレコーダーを設置し、地域の防犯力の向上を図っていきます。
水害対策のうち柴崎排水区では、後田樋管改築事業を3か年継続事業の最終年度として工事を進め、30年度末の完了を目指します。
天王台6丁目地区では、29年度の国の補正予算を活用し、3か年継続事業として雨水幹線の整備工事に着手します。
布佐排水区では、30年度から雨水幹線の整備工事に着手し、若松地区では、引き続き、雨水管布設工事を進めていきます。
水害対策には、多額な予算と長い年月が必要です。今後も、水害に強いまちづくりに向けて、国の交付金を活用しながら事業を着実に進めていきます。
救急救助体制の強化では、近年、複雑多様化している中高層建物の火災や増加している救急要請に対応するため、西消防署に配置しているはしご付消防自動車と、つくし野分署に配置している高規格救急自動車を更新します。
また、救命率の向上につなげるため、市内24時間営業のコンビニエンスストアにAEDを設置できるよう、事業者と協議を進めていきます。
消防施設の整備では、中里地区において、防災活動にも総合的に対応できる消防署と訓練施設、消防団の器具置場等の整備を進めています。
30年度は、千葉県への事業認定申請を行うとともに、用地取得を進めていきます。
また、東消防署の外壁と屋上防水改修工事を行うほか、中峠上区集会所の敷地内にある第11分団器具置場の建て替えと、久寺家地区にある第9分団器具置場の設計を行います。
バリアフリー化の推進では、誰もが安心して快適に公園を利用できるよう国の交付金を活用し、天王台西公園の園路やトイレなどの整備を進めていきます。
放射能対策では、市民の不安を軽減するため、引き続き、小中学校、保育園、公園などの子どもが利用する施設の放射線量測定をはじめ、剪定枝木等の埋め立て処分や給食食材と市民が持ち込む食品の放射性物質検査、ホールボディカウンタでの内部被ばく線量測定と甲状腺検査の費用の一部助成などを行っていきます。
千葉県が管理する手賀沼終末処理場に指定廃棄物として一時保管されている汚泥焼却灰は、全て建物内に移設されました。
しかし、国が県内に整備する指定廃棄物の長期管理施設については、27年4月に国から候補地が示されてから3年が経過しますが、何ら進展が見られず、市民の不安も未だ払拭されていない状況です。
このため、29年8月に続き、1月12日に直接私が関係4市の市長等とともに中川環境大臣を訪ね、「市民が安心できるよう、長期管理施設を県内に1か所整備するという国の約束を1日でも早く履行してほしい。」と強く要望しました。これに対し中川環境大臣から「長期管理施設についての国の方針に変更はなく、具体的なスケジュールを示すことはできないが、国として必要な支援を行っていく。」という話がありました。
今後も、市民の安全を確保するため、関係市と連携して長期管理施設の早期確保を国に要望していきます。
東京電力ホールディングス株式会社への放射能対策経費の賠償請求については、これまでの請求に対し未払いとなっているものも含め、支払いに応じるよう、引き続き強く求めていきます。
なお、8月に請求した28年度分の放射能対策経費のうち、時間外勤務手当の一部と消耗品費の計約27万円が1月4日に支払われました。
また、ごみ焼却灰の処理費用の約2億4,912万円が1月31日に支払われました。
なお、道路側溝の汚泥を一時保管していた施設の解体費用約493万円についても、今年度中に支払われる予定です。
重点プロジェクト4「若い世代に選ばれるまちづくり」
冒頭で申し上げたとおり、少子高齢化が加速し、人口減少が続く中、若い世代に住んでもらうとともに、子どもたちには、我孫子に対する愛着心と誇りを持って、大きく育ってもらうことが大切です。そのため、若い世代のニーズを把握しながら、安心して子どもを産み育てられる環境づくり、教育や子育て環境をより充実させて、のびのびと子育てができる魅力あるまちづくりを進めていきます。
子ども・子育て支援の充実では、32(2020)年度にスタートする「子ども総合計画」の次期計画の策定を進めます。30年度は、子どもの保護者等の意向や置かれている環境などを把握するためのニーズ調査を行うとともに、現行計画の検証を行います。次期計画においても、地域の実情に応じた質の高い教育・保育を提供するほか、地域の子ども・子育て支援事業を充実し、子ども自身の健やかな成長を促す取り組みを総合的に推進する計画としていきます。
若い世代の住宅取得への支援では、事業がスタートした26年6月から30年1月末時点の申請件数は、1,487件にのぼり、このうち市内東側地区の世帯は433件、市外からの転入世帯は546件、15歳以下の子どもを持つ世帯は1,066件となり、多くの方に活用いただいています。30年度も、最大20万円の制度としたうえで、引き続き実施します。
少子化対策では、我孫子市結婚相談所「あび・こい・ハート」が、けやきプラザ11階でのオープンから2年半が経過しました。相談員やコンシェルジュによる丁寧な対応とイベントの定期開催に加え、結婚相談所が駅に隣接しているという利便性の相乗効果により、利用者は年々増加しています。
その結果、30年1月末現在の登録者数は351人、27年度から30年1月末までの成婚数は26組となり、その内15組が市内に住まわれています。
今後も、婚活の段階から市の子育て支援策をPRし、我孫子市社会福祉協議会と連携して事業の充実に努めていきます。
産後ケア事業では、事業を開始した27年4月から30年1月末までに、産後ショートステイ98人、産後デイケア61人、ママヘルプサービス179人の利用がありました。
さらに、29年度から県内で初めて実施した、産婦のメンタルチェックも含めた産婦健康診査費用の助成は、1月末までに862件の利用がありました。
今後も、こうした支援を通じて、医療機関との更なる連携の充実を図りながら、子どもが健やかに育つよう、引き続き、妊娠期から子育て期への切れ目ない支援に努めていきます。
放課後対策事業では、市内13校目となる布佐小あびっ子クラブを30年9月に開設します。
これにより、全小学校へのあびっ子クラブの設置が完了します。
また、提案型公共サービス民営化制度を活用し、4月から、三小あびっ子クラブと学童保育室を新たに民間事業者に委託します。
委託後は、保護者からの要望が高い学童保育室の開室時間延長やお弁当の注文など、働く保護者がより安心して預けられるようになります。
なお、四小あびっ子クラブと学童保育室は、27年度からの運営が評価されたことに加え、新たにサタデイスクールなど学習メインの取り組みを実施することが評価され、現在委託している事業者が引き続き運営を行います。
市立保育園の民営化では、4月から名称をそのままとし、根戸保育園を社会福祉法人はまなす福祉会へ移管します。
なお、現在、根戸保育園に勤務する臨時職員のほぼ全員が、法人の職員として残ることから、円滑な移管ができるものと考えています。
私立幼稚園・保育園への運営支援では、4月から認定こども園に移行するひかり幼稚園、つくしの幼稚園、湖北台幼稚園、恵愛保育園、柏鳳保育園の5園に対し、これまで以上に質の高い教育・保育を行う体制を整えていくため、運営を支援していきます。
市立保育園の整備では、老朽化した寿保育園の外壁補修と屋上の防水工事を行います。工事期間中も子どもたちが安全・安心に過ごせるよう、配慮しながら保育を行っていきます。
小中学校のコンピュータ教育の充実では、31年度から全市展開となる小中一貫教育を支えるICT教育の充実のため、30年度は久寺家中学校区と白山中学校区にタブレット型端末とICT教育支援員を配置します。
これにより、全中学校区への配置が完了します。
また、提案型公共サービス民営化制度を活用し、複数の契約からなっている小中学校のコンピュータ関連機器の賃貸借契約等を、7年かけて一元化するとともに、学校現場におけるネットワーク環境を整備するほか、サポートデスク導入によるトラブル等への速やかな対応を図ります。
これにより、教職員の校務が効率化され、生徒と向き合う時間が増えるため、今まで以上にきめ細やかな指導が行えるようになります。
学校給食費の補助事業では、4月から、市立の小中学校に3人以上の子どもが在学する世帯において、第3子以降の学校給食費を全額補助します。
これは、30年度から廃止する児童育成手当の財源を充てて実施するものです。
また、小中学校で就学費用の負担が困難な家庭に対し実施している就学援助では、「修学旅行に関する費用」と「林間学校に関する費用」を、30年度から全額支給とし、保護者の経済的な負担軽減を図ります。
平和事業では、市内の中学生12名を広島に派遣します。
広島では、8月6日に開催される平和記念式典に出席するほか、平和記念資料館や爆心地に近い小学校の見学、被爆者の方の講話などを通じて被爆の実態や平和の大切さについて学んでもらいます
。また、広島や長崎への派遣体験をもつ大学生や高校生などが小学6年生を対象に実施しているリレー講座や写真展などを、引き続き開催するとともに、市民と連携しながら、平和の尊さを考えていきます。
常磐線・成田線の利便性向上の取り組みでは、29年10月のダイヤ改正で、上野東京ライン直通列車の本数が拡大されました。
今後も、更なる利便性の向上につなげるため、成田線の増発と常磐線特別快速列車の我孫子駅停車などについて、引き続き、JR東日本への要望活動を続けていきます。
成田線の活性化では、沿線の7自治体で構成する成田線活性化推進協議会で実施している事業の見直しを、引き続き進めていきます。
具体的には、29年度にリニューアルした協議会のホームページを更に充実させるほか、成田線沿線地域をPRするコンテンツを作成し、イメージアップを図っていきます。
我孫子駅発着の臨時特急「踊り子号」は、春の増発列車として、6月30日まで運行延長が決定しました。より多くの人に利用してもらうことで、「踊り子号」の定期運行化を目指していきます。
バスの利便性向上では、今井タクシー有限会社により、平日に天王台駅北口、水の館、市役所、水道局・教育委員会を結ぶ新たな路線バス「アイバス」が2月1日から運行を開始しました。
1日6便が運行され、料金は大人が200円、小学生が100円です。
更に多くの方が水の館を訪れることができるよう、市としてPR活動を強化するほか、運行時間帯やバス停等の拡充についても支援を行っていきたいと考えています。
重点プロジェクト5「誰もが生涯をとおして、健康で自立した生活を安心して送れるまちづくり」
核家族化の進展による地域でのつながりが希薄化する中、私たちは、住みなれた場所で家族や地域の人たちと関わりを持ちながら、心身ともに健康にくらすことを望んでいます。
そのため、誰もが生涯をとおして健康でいきいきとくらせるよう、健康寿命の延伸や介護予防への取り組みなど、市民の健康づくりを応援していきます。
また、障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが住みなれた地域の中で自立し、安心にくらせる環境づくりを進めます。
胃がん検診の充実では、胃がん死亡率の減少に効果がある検診として認められた胃内視鏡検査の導入に向けて、取り組みを進めていきます。
30年度は、国の指針に基づく胃内視鏡検査を実施するため、検診運営委員会を設置するほか、医師2名での画像判定など、検診における精度管理を含めた体制づくりを進めていきます。
高齢者の生活支援では、高齢者が日常的な支援が必要となっても、住みなれた地域で安心してくらし続けることができるよう、身近な地域ごとに支え合う体制づくりを検討する場を設置するとともに、生活支援コーディネーターの配置を進めます。
30年度は、市内1か所への設置・配置を目指します。
老人福祉センターの運営では、老朽化したつつじ荘の受変電設備と空調設備の更新工事に向けた設計、西部福祉センターの浴室天井の修繕を行います。
また、現在進めている西部福祉センターの貯湯槽の改修に向けた設計を、引き続き実施していきます。
障害者支援施設等の整備では、障害を持つ方が住みなれた地域で生活するために必要な住まいの場を確保するため、柴崎に建設を予定している定員6名の障害者グループホームの整備を支援していきます。
成年後見制度利用への支援では、生活保護受給者等のうち市長申立て以外の被後見人等に対しても報酬扶助を行い、成年後見制度の利用促進を図ります。
自殺対策では、「自殺対策基本法」に基づき、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、保健・医療・福祉・教育・労働など、さまざまな分野から生きることの支援を総合的に推進するため、新たに自殺対策計画を策定します。
生涯スポーツの推進では、生涯スポーツを支える人材を確保するため、スポーツボランティアやスポーツ指導者の養成講座を開催します。
また、昨年に引き続き、健康の保持・増進や手賀沼周辺でのにぎわいづくりとして、「手賀沼チームラン・キッズランうなきちカップ」を開催します。
市民体育館の整備では、多くの市民の皆さんにご利用いただいているテニスコートの全面改修を行います。改修にあたっては、利用者の意見を踏まえながら、進めていきます。工事期間中は、市民の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
主な都市整備
橋梁の長寿命化では、市の橋梁長寿命化修繕計画に基づき、30年度は、JR東日本と協定を締結し、白山跨線人道橋の修繕工事を行うとともに、11橋について5年ごとの定期点検を実施していきます。
手賀沼公園・久寺家線の整備では、残り1件の用地取得に向けて代替地を取得したことから、更に交渉を進め、事業の早期完了を目指します。
下新木踏切道の改良では、道路用地の取得と歩道拡幅工事を行います。
また、踏切の早期整備に向けて、引き続き、JR東日本との協議を行うとともに、地権者との交渉を進めていきます。
下ヶ戸・中里線外1線の整備では、3月末に事業認可を取得し、35(2023)年度内の完了に向けて整備を進めていきます。
30年度は、事業用地取得に向けた用地測量や地質調査、埋蔵文化財の試掘調査、道路の詳細設計などを実施していきます。
駅施設の整備では、これまでJR東日本に要望を続けてきた我孫子駅構内エレベータの整備に向け、30年度から31年度にかけて設計を実施します。
今後は、早期整備に向けて、JR東日本と協議しながら進めていきます。
また、湖北駅では、ホーム屋根の増設工事と自由通路下部の修繕工事に着手します。
これにより、我孫子方面に1.5車両分となる約35メートルのホーム屋根が延長され、雨天や猛暑時等の利便性が高まります。
工事期間中は、地域の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
昭和48年から進めてきた我孫子駅前の土地区画整理事業では、3月末の完了を目指して工事を進めています。
30年度は、事業の完了に向けて事業計画の変更を行います。
また、千葉県との協議を行った後に、地権者の皆さまに換地計画書の縦覧を実施するなど、換地処分に向けた手続きを進めていきます。
下水道整備では、市の整備計画に基づき、湖北駅北側地区と下ヶ戸西側地区に下水道管を布設するとともに、布佐駅東側地区の実施設計を行います。
また、久寺家1・2丁目地区では、引き続き不明水対策の調査を実施していきます。
その他の事業
我孫子市・柏市・印西市・千葉県・国で構成する手賀沼・手賀川活用推進協議会では、9月に策定したアクションプランに基づき、各構成団体が実施する事業の進捗状況について協議会内で情報共有を図ります。また、手賀沼を周回するサイクリングロードや桟橋の整備、舟運の検討など、広域連携で実施する事業の実現に向けて、引き続き取り組みます。
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みでは、引き続き、8月に千葉県で開催される「第16回世界女子ソフトボール選手権大会」に出場する海外チームの事前キャンプ招致に取り組んでいきます。
また、聖火リレーのコースについては、東日本大震災で被災した自治体の復興を強くアピールするため、東葛飾地域の各市を通るルートとなるよう、引き続き、近隣各市とともに要望活動に取り組んでいきます。
行政改革の推進では、引き続き、市民の視点に立った行財政改革に取り組むほか、事業仕分けと提案型公共サービス民営化制度を実施していきます。
市税の徴収率向上では、29年度から開始した納税コールセンター業務により、市税の現年度分の徴収率が向上していることから、30年度も引き続き実施し、自主財源である市税の確保に努めていきます。
ふるさと納税では、日頃より多くの皆さまから寄附をいただいておりますが、我孫子市民の方が他の自治体に寄附をしたことによる住民税の減少額が、我孫子市への寄附額を上回っているのが現状です。こうした減収幅を少しでも小さくできるよう、お礼品の充実に取り組んでいます。29年度は、うなぎの蒲焼きやNECグリーンロケッツのグッズセット、手賀沼花火大会へのご招待などを加えました。30年度は、新たに手賀沼エコマラソンへの出走権を加えるなど、更に魅力のあるラインナップを取り揃え、市のPRとともに、財源の確保に努めていきます。
職員の派遣は、引き続き、国土交通省関東地方整備局に1名と千葉県に1名の職員を派遣し、さまざまな場で活躍できる職員を育成していきます。
また、全国市長会を通じて東北被災地の陸前高田市と東松島市に各1名を派遣し、復興を支援していきます。
会計年度任用職員制度の導入では、「地方公務員法」と「地方自治法」の改正に伴い、32(2020)年度からの制度導入に向けて、臨時・非常勤職員全体の任用根拠の適正化と制度の整備を行います。任用・勤務条件等の検討や確定にあたっては、職員組合との協議を進めながら、適正な任用の確保に努めていきます。
公共下水道事業では、長期的な視点で下水道施設を計画的かつ効率的に維持管理することを目的に、ストックマネジメント計画の策定に必要な施設の情報の収集・整理を行うとともに、下水道台帳を電子化します。
また、32(2020)年度からの公営企業会計化に向けて、現在収集している固定資産に関する資料に基づき、30年度は、固定資産の評価額の算出やシステム導入の準備を行います。
国民健康保険の広域化では、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」に基づき、国民健康保険を将来にわたって安定化させるため、4月から、都道府県と市町村がともに保険者となり、それぞれの役割を担います。市では、引き続き、資格管理、保険給付、賦課・徴収、保健事業などの地域に密着したきめ細かい事業を行い、新制度の開始にあたっては、被保険者の皆さんへの周知とともに、丁寧な対応に努めていきます。
湖北地区公民館の充実では、29年8月から9月にかけて行った施設の愛称募集に121点の応募が寄せられました。その中から湖北小学校と湖北中学校、利用団体の皆さんの投票結果も参考に、1月17日に開催した愛称選考委員会において選定した「コホミン」に決定しました。この愛称は、「公民館のミン」と「みんなのミン」の意味が込められており、地域の子どもたちの支持も多かったものです。今後も、一層親しみを持っていただける施設となることを期待しています。また、老朽化したホールの調光設備の更新工事を、9月から行う予定です。工事期間中は、市民の皆さまにご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
新たな文化交流拠点施設の整備検討では、3月末を目指し、建設構想案の策定を進めています。策定後は、議会や市民に提示し、新たな文化交流拠点施設建設の是非も含めて、広く意見を聴いていきます。
以上で施政方針を終わります。議員の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。