(4)地下水汚染の原因について
地下水汚染の原因は、工場・事業場等からの漏出・地下浸透等や埋立て処分・不法投棄等による公害に起因するもの、農業に起因するもの、自然由来のもの等があります。
環境省によると、平成14年度までに地下水汚染が判明した事例は3,791件(累積)ありますが、そのうち環境基準を超過している井戸が存在する事例は2,509件となっていますが、これらの汚染原因をみると、下表のとおりとなっています。
汚染物質 | 揮発性有機化合物(VOC) | 重金属 | 硝酸・亜硝酸性窒素 |
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性質 | 揮発性、低粘性で水より重く、土壌・地下水中では分解されにくい。土壌中を浸透し、地下水に移行しやすい(ベンゼンは水より軽く、他のVOCと比べると分されやすい)。 | 水にわずかに溶解するが、土壌に吸着され易いため移動しにくい(重金属によっては水に溶けやすく、動きやすいものもある)。 | 土壌に吸着されにくく、地下水に移行しやすい。土壌中の微生物のはたらきにより、アンモニア性窒素等が酸化されて生じる。 |
汚染の原因 | 溶剤使用・処理過程の不適切な取扱い、漏出。廃溶剤等の不適正な埋立処分、不法投棄など。 | 保管・製造過程の漏出、排水の地下浸透、廃棄物の不適正な埋立処分、自然由来など。 | 過剰な施肥、家畜排せつ物の不適正な処理、生活排水の地下浸透など。 |
汚染の特徴 | 地下浸透しやすく深部まで汚染が広がることがある。液状のままやガスとしても土壌中に存在する。 | 移動性が小さいため、一般に汚染が局所的で深部まで拡散しない場合が多い。自然由来(土壌からの溶出)によって地下水環境基準を超過することもある。 | 農地など汚染源そのものに広がりを持つため、汚染が広範囲に及ぶことが多い。 |
備考 | トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等は分解してシス-1,2-ジクロロエチレンや、1,1-ジクロロエチレン等に変化することがある。 | 六価クロム等の陰イオンの形態をとるものは、土壌に吸着されにくいため、地下深部まで汚染が及び、また広範囲に汚染が広がることもある。 | 土壌への窒素負荷を完全になくすことは、困難である。 |
(4)地下水汚染の原因について