手賀沼のハスが見当たりませんが、どうしたのでしょうか?
Q 手賀沼のハスが見当たりませんが、どうしたのでしょうか?
A
手賀沼のハス群落は、1965年から1979年までは全体的に面積を拡大し、その後2017年までは東西方向に拡大していました。
2017年には、このまま群落が拡大していくことによって、船の航行障害や手賀沼の流速低下、水質や生態系への影響が懸念されるとし、手賀沼の総合的な水環境保全に取り組む「手賀沼水環境保全協議会」(外部サイト)において、ハスの生育抑制(刈取り)方法の検討が始まりました。
しかし、2018年になると群落の縮小が確認され、2019年には全域でハスの生育密度・高さに大きな低下が見られ、花付きも悪くなりました。
そして、2020年には群落が消失し、ごく一部で生育が確認される程度になりました。同年冬には、水中での生育状況の調査も行われましたが、今後生育が期待できる根茎がほとんど確認されていません。
このようなハスの衰退について、2020年度に手賀沼水環境保全協議会が専門家による調査を実施しましたが、原因が複合的なものと考えられるため、原因の特定には至りませんでした。
減少要因 | 手賀沼の現状 |
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底泥中のメタンガス濃度の上昇 | メタンガスが原因であった場合、沖合のハスまでは枯死しないため、メタンガスのみが原因とは考えにくい。 |
底質の粗粒化 | 著しい粗粒化は確認されていない。 |
ミシシッピアカミミガメやアメリカザリガニによる食害 | 手賀沼にも生息しているが、これまでにハスの食害や著しい個体数増加の報告はされていない。 |
ハクチョウ類による食害 | コブハクチョウが生息しており、採食行動が確認されているが、全域を枯死させるほどの食害は考えにくい。 |
日照条件の悪化 | 著しい日照条件の悪化はなかったことから、原因とは考えにくい。 |
ハスの病原体感染 | ハスの葉や花の異変についての報告はなく、可能性は低い。ハスが枯死してしまった現状では確認できない。 |
農薬の流入 | 農薬が原因である可能性は否定できないが、農薬の原体ではなく、原体が分解された後の物質が原因になっている可能性もあり、それらから確認・特定する方法がない。 |
手賀沼内のハスは、元来は栽培(レンコン栽培)由来とされ、『外来種』という扱いになります。しかしながら、ハスの花は手賀沼にとって観光資源の一つになっていることも事実です。そのため、今後の手賀沼内のハスをめぐる議論については、様々な関係者とともに十分に調整していく必要があります。