建築主のみなさまへ(建物を建てるときのご案内)
[目次]
建物を建てるとき
- 建築基準法の手続き(確認申請、完了検査、建築基準法の規定)
- 建築基準法の規定について
- 住宅の性能について
- 契約について(建築士法、住宅瑕疵担保履行法)
- 建築主の皆さまへのお願い
建物を建てるとき
建築基準法の手続き(建築確認申請など)
建築基準法の手続き
建物を建てるときに、守らなくてはならない法律の一つに建築基準法があります。
建築基準法では、建築物等の構造、規模、使い方(用途)によって、計画段階から工事完了後の維持管理まで、建築物の安全を確保するための手続きが定められています。
各手続きで交付される書類(確認済証、中間検査合格証、検査済証)は、再交付することができません。
確認申請図書(副本)建築主用とあわせて、大切に保管してください。
確認申請等の手続きが必要な場合(建築基準法第6条)
- 建築物を新築しようとする全ての場合 ※一定規模以上の物置、車庫、コンテナの新築を含む
- 増築、改築及び移転をしようとする場合(防火地域及び準防火地域内) ※一定規模以上の物置、車庫、コンテナの増築を含む
- 床面積10平方メートルを超える増築、改築及び移転をしようとする場合(防火地域及び準防火地域外) ※一定規模以上の物置、車庫、コンテナの増築を含む
- 既にある建築物のうち、一定の用途・規模以上の建築物において、大規模の修繕もしくは大規模の模様替えをしようとする場合
- (用途変更)既にある建築物の部分で用途を変更して使おうとする場合のうち条件にあてはまるもの
- (建築設備)一定規模以上の建築物に昇降機(エレベーターなど)その他の建築設備を設ける場合
- (工作物)高さ2メートルを超える擁壁や一定規模以上の鉄柱、広告塔、貯蔵施設などを設置する場合
確認申請
建築主の皆さまは、計画段階で、我孫子市建築主事または指定確認検査機関(外部サイト)のいずれかに、確認申請書を提出してください。
- 確認申請図面や計算書など専門的な内容も含まれるため、建築主は設計者等の代理人に手続きを委任することができます。
- 建築基準法の規定に適合していることが確認できると、確認済証が交付されます。
- 確認済証の交付を受けた後でなければ、工事をすることができません。
- 工事を始めるときには、工事現場の見やすい場所に、建築確認済証の交付を受けたことがわかる表示板を設置しなければなりません。
検査の手続き
中間検査・完了検査の手続き(検査の必要書類、中間検査対象建築物等のご案内)
中間検査(対象建築物のみ、工事中の検査)
建築主の皆さまは、工事中の指定された段階で、建築主事または指定確認検査機関のいずれかに中間検査申請書を提出してください。(建築基準法第7条の3、同法7条の4)
- 指定されている工程(特定工程)の工事完了から4日以内に申請してください。
- 検査に合格すると中間検査合格証が交付されます。
- 中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、特定工程後の工程を施工できません。
完了検査
建築主の皆さまは、確認済証の交付を受けた建築物等の工事が完了したときは、我孫子市建築主事または指定確認検査機関のいずれかに完了検査申請書を提出してください。(建築基準法第7条、同法7条の2)
- 工事完了から4日以内に申請してください。(年月を遡っての受験はできません)
- 検査に合格すると検査済証が交付されます。
- 検査済証の交付を受けた後でなければ、原則として竣工しても建物を使用することができません。
- 用途変更の工事は、工事完了届を建築主事に提出してください。(建築基準法第87条)
建築基準法の規定について
建築基準法は国民の生命・健康・財産を守ることを目的として、地震や火災時の建物の安全性や避難のし易さ、建物や敷地の衛生性、良好な市街地環境(まちづくり)について、最低の基準を定めたものです。
規定の中からいくつかご紹介します。
建築物の用途
土地の使い方や建てられる建物についてルールがあります。
我孫子市では、市街化をする「市街化区域」と市街化をおさえる「市街化調整区域」が定められています。
「市街化区域」には更に用途地域(外部サイト)が定められています。用途地域の特性にあわせた建築物以外は、原則として建築することができません。(建築基準法第48条)
建築基準法の道路
前面道路の幅員が4メートル未満の場合はセットバックが必要です。
災害時などに建物から安全に避難するために、原則として、建物の敷地は幅員4メートル以上の「建築基準法上の道路」に接していなければなりません。建築住宅課で建築基準法の道路種別を確認していただいて、幅員4メートル未満の建築基準法第42条第2項の道路であった場合には、道路の中心線から2メートルの線を道路の境界線とみなすため、道路の中心線から2m以内は、所有されている土地であっても、建築物、門、塀、擁壁などをつくることができません。(建築基準法第42条第2項)
維持保全
「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない(建築基準法第8条)」
建物を安全にお使いいただくために、不特定多数の方が利用する一定規模以上の建築物の所有者様等には定期報告が義務付けられています。(建築基準法第12条)
敷地の安全性について
- 高低差2メートルを超え、角度が30度を超えるものをがけとして、がけ付近の建築物の敷地では、建物をがけから離すか擁壁などでの安全対策が必要です。(千葉県建築基準法施行条例第4条)
- 建物の敷地の塀は、構造に関する基準をクリアするものを設置しなければなりません。(建築基準法施行令第61条、第62条の8)
住宅用火災報知機の設置
住宅には、火災警報器等の設置が義務付けられています。
新築住宅だけでなく既存の住宅も対象です。(建築基準法施行令第9条関係規定:消防法第9条の2)
物置、車庫、コンテナの設置について
一定規模以上の物置、車庫、コンテナを土地に定着させて倉庫、車庫その他の用途に使用するものは、建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。
設置する際には、建築確認申請等の建築基準法等で定められた手続きや規定への適合(用途、面積、構造、材料等)が必要であるため、建築士等や建築住宅課にご相談の上、適切に設置されるようお願いします。
コンテナを利用した建築物について(平成29年1月27日 千葉県特定行政庁連絡協議会)(PDF:88KB)
コンテナを利用した建築物の取扱いについて(平成26年12月26日 国土交通省)(外部サイト)
住宅の性能について
建築基準法は、主に安全に関する最低基準を定めた法律です。そのため、建築基準法の確認済証は「安全に関する最低基準をクリアしている」ということではありますが、建築主の皆さまが期待する各種の性能があるかどうかとは全く別のものです。
建物の維持管理のしやすさと可変性について
新築の計画時にはまだ先のことと思われがちですが、補修や日常の掃除などメンテナンスのしやすさに配慮された計画となっているか設計段階で確認しておきましょう。
また、家族構成の変化、住む方の体の変化にも対応できるように、間取りや設備の可変性や、ユニバーサルデザイン(誰でも使いやすいデザイン)などについても設計段階から検討しておくことが重要です。
住宅性能の表示に関する制度
- 住宅性能表示制度(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
- 長期優良住宅認定制度(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)
- 低炭素建築物認定制度(都市の低炭素化の促進に関する法律)
各制度のご利用は任意で、住宅等の性能の表し方について共通ルールを定めたものです。
制度を利用しない場合でも「住まいで気になること」「家に求めること」などを洗い出すときには、「性能」に関する面(耐久性能、維持管理のしやすさ、断熱性能、防犯対策など)から考えてみる方法もあります。
制度のご利用、認定申請等の申請手数料などが建築主のご負担となります。
制度をご利用になりたい場合には、契約前に設計者と打ち合わせをしておきましょう。
また、認定通知書等を取得して所定の手続きをされた場合に、税制優遇措置がある場合があります。
住宅性能表示制度の基礎知識(住まいの情報発信局)(外部サイト)
各制度の概要と利用案内(住宅性能評価・表示協会)(外部サイト)
必要書類は税務署に確認してください。税制優遇措置用の証明書等の発行は、依頼先の建築士、性能評価機関等に直接依頼してください。
契約について(建築士法、瑕疵担保履行法)
建物は工事監理が重要です。
※工事監理とは
工事の施工中に設計の仕様どおりに施工されているかどうかの確認や調整などを、建築主の立場に立って行う業務です。工事施工者の立場から施工状況を管理する「工事管理者(現場代理人)」と「工事監理者」は業務内容が異なります。設計内容を熟知している必要があるため、設計者と工事監理者が同一であることが多いですが、設計者とは別の工事監理者とすることもできます。
一定規模未満の建築物の設計者・工事監理者の資格に関する規定はありませんが、欠陥住宅等を防ぐためには、施工と同様に工事監理も大変重要です。
依頼先と契約方法
依頼先別の特徴を見極めましょう。(契約方法は次の2つに大別されます)
契約の種類:設計業務の委託等の契約/工事監理※業務の委託等の契約/工事施工の請負契約
- 「建築主が建築士事務所と設計・工事監理の契約」と「建築主が施工者(ゼネコン・工務店等)と工事請負契約」の契約を2本結ぶ方法
- 「建築主が建築士事務所としても登録している施工者(ハウスメーカー・ゼネコン・工務店等)と設計・工事監理契約および工事請負契約」を結ぶ方法
依頼先によって、設計の進め方、契約や支払いのタイミング、工事期間、瑕疵やアフターメンテナンスへの対応方法、完成する建物のテイストなど、それぞれの特徴があります。その特徴をよく理解して、建築主のみなさまの目的に沿う依頼先を見極めることが大変重要です。建物の完成後には維持管理が大変重要です。建築物の主治医となるような長くつきあえる依頼先を選定しましょう。
建築士法について
建築士法は、建築物の質を向上させることを目的として、建築士の業務範囲、設計・工事監理業務等の実施体制について定めた法律です。
- 一定規模以上の建築物の設計と工事監理は建築士だけが行うことができます。(建築士の業務範囲)
- 専門知識を必要とする構造の建築物は、構造設計一級建築士の関与が義務付けられています。
- 設計・工事監理契約の重要事項説明は書面を交付しての説明が義務づけられています。
- 建築士事務所としての報酬を得る場合には、所在地(都道府県)への建築士事務所登録が必要です。
契約する際の注意点
- 書面により契約を締結しましょう。
- 設計者との打ち合わせは、どこから有料となるのか、契約のタイミング、どんな図面(成果品)が提出されるのかなどを確認してから進めましょう。
[参考]
(見本)設計・工事監理の標準的な契約書(日本建築士事務所協会連合会(外部サイト)
住まいづくりの基礎知識【設計図書の種類】住まいづくりナビセンター(外部サイト)
一定規模以上の工事をするには建設業許可が必要です。建設業法では、主に発注者を保護し社会に寄与することを目的として、建設業者の許可、工事の請負契約や施工の実施体制について定めています。
住宅瑕疵担保履行法のご案内
建設業者又は売主より説明を受けましょう。
新築住宅の建設や販売の際に、工事を請負う建設業者及び売主となる宅地建物取引業者が保険へ加入または供託(保険金を預けておくこと)することが義務付けられていますので、その説明を受けてください。
建築主の皆さまへお願い
「工事現場が自宅の隣だったら・・・」まずは想像してから
建物を建てるときに守らなければいけない法律の一つが建築基準法ですが、その建築基準法の確認済証があっても、その建物があらゆる法令に適合しているということではありません。また、法令に適合していても、民事上のトラブルとなる場合があります。
計画段階から設計・工事監理者、工事施工者と情報共有をしていただき、建築主として周囲に配慮して頂きますようお願いいたします。
たとえば、次のことに注意していただき積極的なトラブルの予防をお願いします。
- 敷地境界からゆとりをもって建物を配置する(日照や通風、音や振動、プライバシーへの配慮)
- 植栽の種類や位置に注意し、木が成長しても葉などがお隣に落ちないようにする(雨水や雪も)
- 窓の位置および排気口の吹出し方向などに注意する(臭気、眺望、プライバシーへの配慮)
- 工事を早朝・夜間、休日に行う必要がないように十分な工期を確保する(工事中の騒音・振動等への配慮)
- 工事車両の駐車、資材の置き方、現場のゴミ置き場の位置などに十分配慮している施工者を選ぶ
主な届出のご案内
紛争予防と調整に関する条例の報告
一定規模以上の建築物等を建築する時には、計画周知のための標識設置や事前説明の状況について市に報告する手続きが必要です。
特定建設工事などの届出
騒音・振動等の防止や粉塵の飛散防止、工事現場及び周囲の安全確保に努めてください。重機や一定格出力以上の原動機の使用、土砂の埋立、井戸については、工事着手前に市まで届出の提出が必要です。
このほかにも、一定規模以上の建築計画の場合には、設計段階で景観(建物の色彩)や緑化対策など、事前に調整していただくことが必要です。詳細については、本ページ上部のリンクから「調査窓口のページ」をご覧ください。
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