2013(平成25)年第1回市議会定例会(3月議会)水道事業経営方針
平成25年度の水道事業の経営方針を申し上げます。
はじめに、経営の概況について申し上げます。
我孫子市の水需要は、引き続き減少傾向にあります。その主な要因は、経済性や環境負荷低減への意識の高まりから、節水の取り組みが一層進んでいることに加え、給水人口の減少が続いていることにあります。
24年度の事業収益の状況は、この影響を受け事業経営の源泉である料金収入が減収となっており、その一部を営業外収益である給水申込納付金の増収で補完している状況です。結果的に、事業収支は黒字となる見通しですが、この状況は当面続くものと予想され、今後一層の水運用の効率化を図るとともに、事業手法の工夫、組織体制や人員配置の見直しなどに積極的に取り組み、経営基盤をより持続可能なものとしていく必要があります。
25年度は、このような厳しい事業環境下にありますが、市民生活を支えるライフラインの担い手として、安全な水を安定して供給していくため、引き続き中期計画で掲げる施策目標の実現に向け、実施計画で予定している管路や浄水場施設の耐震化及び経年による更新などの事業を着実に進めます。また、東日本大震災、その後の原発事故に起因した放射性物質による水質汚染、そして昨年5月のホルムアルデヒド検出に伴う大規模断水などで明らかになった課題を踏まえ、危機対応施策の取り組みを強化します。一方、法令改正に伴う会計基準などの見直しにも対応していきます。
次に、25年度の主な取り組みについて申し上げます。
まず「安全で快適な水を供給できる水道」の実現に向けた取り組みです。
第1は、高度浄水処理施設の効率的運用です。
経年により更新時期を迎えた湖北台浄水場の活性炭ろ過機空洗弁及び排気弁交換工事を行います。また、隔年で実施している高度浄水処理設備保守点検にあわせ部品交換を行い、施設の効率的運用を図ります。
第2は、配水管の拡張整備です。
道路整備に伴う延伸や、井戸水の水質悪化により、水道への切換えが必要な地区に配水管を布設します。25年度は、約230メートルの配水管の延長を予定しています。
第3は、水質管理の充実です。
市内4か所に設置している連続自動水質監視装置の点検保守や濁り水を防止するための洗管作業などを継続して行い、水道水の安全性確保に努めます。
次は、「将来にわたり安定して供給できる水道」の実現に向けた取り組みです。
第1は、浄水場施設の耐震化及び整備の更新です。
災害時においても安定した給水が行えるよう、浄水場の耐震化を進めていきます。24年度に実施設計が完了した湖北台浄水場施設の耐震補強工事を25年度と26年度の継続事業として実施します。
また、経年劣化が進んでいる湖北台浄水場の遠方監視制御設備更新工事を行います。
第2は、管路の耐震化です。
管路施設については、更新時期を迎えているつくし野、久寺家、中峠地区等の老朽配水管約4,300メートルについて耐震性に優れた管へ布設替えを行います。あわせて、東日本大震災の経験を踏まえ、基幹管路である導水管、送水管及び口径200ミリメートル以上の配水管の耐震化により積極的に取り組んでいきます。25年度は、湖北台9丁目など約1,300メートルについて高機能耐震管への布設替えを行います。また、基幹管路や防災重要拠点への供給管路の早期耐震化などを中心とした新たな管路更新計画を立案します。
第3は、緊急給水・復旧体制の整備です。
災害や事故発生時における緊急給水及び応急復旧体制の強化を図るため、地域防災計画で応急給水拠点として位置付けられている市内の全小学校の受水槽に応急給水栓を設置するとともに、給水袋2万5千枚を補充します。また、民間事業者との給水タンク積載車両や復旧資材等の優先供給協定を拡充します。さらに、大規模断水発生時の対応等を定めた活動マニュアルの見直しを行います。
次は、「環境に配慮した水道」の実現に向けた取り組みです。
貴重な水資源の有効利用と経費の節減を図るため、本市西側地区の給水管の漏水調査を実施し、漏水箇所の早期修繕を行い有効率の向上に努めます。
次は、「お客さまに信頼される水道」の実現に向けた取り組みです。
第1は、経営基盤の強化です。
26年度に契約期間が満了となる浄水場設備運転及び維持管理業務の包括委託の拡大を検討するとともに、他の業務についても委託業務の検討を行い、更なる経費の節減に努めていきます。また、委託業務の範囲拡大とあわせ、各担当の事務分担を見直して適正な人員配置を確保し効率的で効果的な執行体制の整備を図ります。
第2は、親しまれる窓口サービスの提供です。
料金納入窓口の拡充を図るため、新たに郵貯銀行窓口での納入が可能となるよう所要の調整を行い、お客様の利便性の向上を図ります。
第3は、高度浄水処理のボトリングです。
湖北台浄水場で高度浄水処理した水道水2万本のボトリングを行います。ボトリングした水は、災害や事故発生時の備蓄水として確保するほか、安全でおいしい水道水をアピールするため、市の主なイベント等で配布します。
次は、放射能対策です。
第1は、放射性物質の検査です。
現在実施している、湖北台浄水場の地下水及び水道水の放射性物質検査を継続し、引き続き放射性物質を監視していきます。なお、北千葉広域水道企業団においても継続して放射性物質を監視していくこととしています。
第2は、施設の除染です。
第2次放射性物質除染実施計画に基づく除染スケジュールに沿って、久寺家浄水場及び妻子原浄水場敷地内の除染を予定しています。
最後に、北千葉広域水道企業団の経営概況と25年度の主な事業について申し上げます。
経営概況については、給水量の伸びに伴い給水収益の増収が見込まれ安定した経営状況となっています。
主な事業のうち、高度浄水処理施設建設事業については、概ね順調に進められており、26年10月頃に運用開始される見込みです。また、沼南調整池整備事業についても、建設工事に向けた実施設計が完了する予定です。
以上、25年度の水道事業の経営方針を申し上げましたが、議員の皆様の一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。