令和2年度水道事業経営方針
令和2年度の水道事業の経営方針を申し上げます。
近年、全国的に水道事業は、人口減少などに起因する水需要の縮小により、料金収入の減収や施設の効率性低下が進む一方、老朽化した水道施設の更新等に多大な資金の確保が求められるため、経営環境が厳しくなっています。
国は平成30年度に水道法の大幅な改正を行い、水道事業の経営基盤を強化して、将来にわたって安全な水を安定的に供給できるよう、関連する制度の改正を進めています。
本市では、このような国の動きを踏まえつつ、50年後の水道の将来像を見据えた「我孫子市水道事業ビジョン」と、令和10年度までを計画期間とする「我孫子市水道事業基本計画」および「我孫子市水道事業経営戦略」を、平成31年3月に策定いたしました。
これらの計画では「安全」・「強靱」・「持続」の3つの観点から、本市の実情に応じた課題を抽出し、水道事業経営の方針、具体的な施策を示しました。令和2年度は、これらの計画の実施2年目となります。引き続き、収支バランスに留意しながら、計画に掲げた事業を着実に進めてまいります。
水道事業の本旨は、水道を取り巻く時代や環境がいかに厳しくあろうとも、その変化に的確に対応しつつ、水質基準に適合した水が、必要な量、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、安心して利用可能であり続けるということであります。水道局では、この点を踏まえて、今後も不断に経営努力をしてまいりますので、ご理解ご協力の程、よろしくお願いいたします。
それでは、令和2年度の主な取り組みについて、「安全」、「強靱」、「持続」の3つの基本目標ごとに、説明いたします。
1つ目の『安全』については、<良質な水道の維持>を基本方針として、施策を実施します。
水道局は令和元年度から「我孫子市水道事業水安全計画」の運用を始めました。水源から蛇口までの供給過程において、水安全計画を総合的な水質管理とリスクマネジメントに活用し、より安全で良質な水質を確保してまいります。また、高度浄水処理施設及び連続自動水質監視装置の保守、配水管の洗管などの業務を行ってまいります。
自己水源である取水井の計画的な機能保全については、2か所で井戸内部のテレビカメラ調査を行うほか、令和元年度から3か年の継続事業として実施している、湖北台浄水場系の取水井遠方監視制御設備更新工事を進めます。
なお、湖北台浄水場の地下水及び水道水の放射性物質測定や市内の貯水槽水道の適切な管理促進については、引き続き実施してまいります。
2つ目の「強靱」については、<施設強靱性の維持>と<災害対応の強化>の2つを基本方針として、施策を実施します。
水道管路については、学術評価等を踏まえた管網解析に基づいて、更新の優先度が高い管種から順次、耐震化していますが、令和2年度は、根戸、船戸、白山、つくし野、古戸の5地区において、経年劣化配水管路の耐震化のため、延長約5千400メートルの布設替え工事を行います。また、重要給水施設への供給にかかる基幹管路耐震化に向けた基本設計を行います。
浄水場設備については、湖北台浄水場の高度浄水処理に不可欠なオゾン発生機1基の更新工事を実施します。また、3つの浄水場で基本計画に基づいた設備の修繕、保守点検を行います。
災害対応の強化については、職員の災害等への即応能力向上のため、水道局独自に訓練を実施するとともに、市が実施する総合防災訓練や避難所設営訓練の際には、地域の住民の方々に参加いただく応急給水訓練を行います。また、非常時に県や近隣の水道事業体とスムーズな連携が取れるよう日ごろから情報共有を図るほか、日本水道協会の情報伝達訓練などにも積極的に参加してまいります。
3つ目の「持続」については、<水道事業の継続性の確保>、<財政健全性の確保>、<将来につなげる新施策の考察>の3つを基本方針として、事業を実施します。
まず、水道事業の継続性を確保するために、アセットマネジメントツールの活用により、中長期的な設備更新需要を見通し、安定的な事業運営の評価を行ってまいります。
また、水道の需要縮小とともに経営資源が減少する現状では、民間事業者と連携して、より質の高い技術力・組織力を形成することが重要となります。令和2年度からは、浄水場維持管理業務と料金・給水・会計業務に関して、新たに5年間の包括委託が始まります。これまで培ってきた実績を踏まえ、官民連携のメリットを最大限に生かして、さらなるお客様サービスの向上と事業の効率化を図ってまいります。
一方、水道局内部での職員の人材育成も課題となっています。ベテラン職員から若手職員へ知識や技術の継承ができるよう、日々の業務での指導に加え、外部研修も活用し、体系的に取り組みを実践してまいります。
財政面では、基本計画に掲げた管路や浄水場設備の更新工事を推進するため企業債を活用して費用の平準化を図りますが、借入に際しては収支バランスに十分留意し、財政規律の確保を徹底してまいります。
このほか、水道事業経営に関わる運営手法や新しい水道技術に関しては、最新の知見や先進事業体の動向に注視し、参考になる事案の情報収集を進めてまいります。
最後に、北千葉広域水道企業団の経営概況と令和2年度の主な事業について申し上げます。
本市が水道用水の供給を受ける北千葉広域水道企業団は、令和2年度から令和11年度までの10年間を計画期間とする第15次経営戦略を策定しました。
令和2年度は「導・送水管路更新の計画的な推進」と「既存施設の現況に即した保全工事及び更新工事の着実な実施」を重点施策に掲げ、着実に事業を推進する、としています。
なお、原水・浄水の放射性物質の監視については、引き続き行うこととしています。