2017(平成29)年度水道事業経営方針
平成29年度の水道事業の経営方針を申し上げます。
我孫子市の水道事業は、水道需要の縮小によって施設の効率性低下が進んでいること、また、老朽化施設が増えることでの施設更新への対応やその多大な投資を賄うための資金の確保、さらには、水道事業を支えるための組織体制の維持など、多くの難題を抱える状況にあり、今後の事業環境はますますこの傾向が強まることで、水道事業の経営は一段と厳しさを増していくことが見込まれています。
水道事業の使命は、市民生活を支えるライフラインの担い手として、安全な水を安定して供給することにあります。この使命を果たしていくためには、経営環境がいかに厳しい状況にあっても、水質管理を徹底し、浄水場施設等を適切に維持管理するほか、老朽化する水道管路の更新や耐震化への対応、さらには多様な事故・渇水などの災害に対処する危機対応力を強化する取り組みを、引き続き着実に進める必要があります。また一方では、経営基盤を強化するため、包括業務委託において民間事業者との連携効果を一層引き出すとともに、少数精鋭組織を支える人材育成にも力を注ぐことで、より効率的で機能的な執行体制を構築しなければなりません。
29年度も、こうした課題と向き合いながら、水道事業中期計画に掲げた4つの施策目標の実現に向けて、引き続き第III期4か年実施計画に予定する事業を着実に執行するとともに、将来に向けての水道サービスの持続性をより確かなものとしていきます。
それでは、29年度の主な取り組みについて申し上げます。
最初は、「安全で快適な水を供給できる水道」の実現に向けた取り組みです。
第1は、安全な水の供給です。
我孫子市の水道は、全量がより質が高く安全な高度浄水処理水で供給されています。29年度も良好な水質確保のため、連続自動水質監視装置の保守点検をはじめ、湖北台浄水場の高度浄水処理設備の保守点検、活性炭交換、配水管の洗管作業などを実施します。なお、湖北台浄水場の地下水及び水道水の放射性物質測定は、29年度も引き続き月1回実施していきます。このほか、28年度に実施した市内の貯水槽水道の実態調査結果を踏まえ、引き続き、貯水槽水道の適切な管理を促進していきます。
第2は、配水管の拡張整備です。
29年度は、根戸地区の他、延長125メートルの配水管を布設する計画です。
次は、「将来にわたり安定して供給できる水道」の実現に向けた取り組みです。
第1は、基幹管路の耐震化です。
我孫子市水道管路耐震化計画に基づき、29年度は、天王台6丁目、中峠台、布佐地区の管口径200ミリメートル以上の基幹となる管路約1,100メートルの耐震化を行います。
第2は、老朽配水管の布設替えと耐震化です。
基幹管路以外の配水管については、更新時期を迎えている、老朽配水管を耐震性に優れた管へと布設替えを行います。29年度は、つくし野6丁目、泉、天王台3丁目、布佐平和台2丁目地区等において延長約5,100メートルの布設替えを行います。
第3は、久寺家浄水場遠方監視制御設備更新工事です。
久寺家浄水場の機械設備を中央操作室から監視・制御するための設備を更新します。29年度は、28年度に行った実施設計に基づき、工事を実施します。
第4は、災害・事故対応能力の向上です。
市内の小・中学校の受水槽に設置した応急給水栓による応急給水の実効性を高めるため、自主防災組織、自治会等地域住民や関係機関と連携した講習や訓練を引き続き実施します。
次は、「環境に配慮した水道」の実現に向けた取り組みです。
貴重な水資源の有効利用と有収率の向上を図るため、27年度から包括業務委託の中で水道管の漏水調査を行っていますが、29年度もこれまでの成果を検証しながら、引き続き効率性の高い手法で実施し、漏水箇所の早期発見と修繕により、無効水量の抑制に努めます。
次は、「お客さまに信頼される水道」の実現に向けた取り組みです。
27年度を初年度として開始した、包括業務委託における官民連携の効果をさらに引き出すことに努め、民間ノウハウの活用を拡げることで、お客様サービスの一層の向上を目指します。また、29年度は、国の水道ビジョンに示された「持続」「安全」「強靭」の観点から、本市水道のあるべき姿を明示し、その実現方策を示す次期基本計画の策定に着手します。次期基本計画は、本市水道の将来を展望し、平成31年度以降の目指すべき方向や新たな目標などを定めていくことになりますが、水道局では事業の基幹となる当該計画を29年度と30年度の2か年で策定します。
最後に、北千葉広域水道企業団の経営概況と29年度の主な事業について申し上げます。
北千葉広域水道企業団では、28年度から37年度までの10年間を計画期間とする第14次経営戦略に基づき、計画的かつ効率的な事業運営を推進することとしています。29年度は、緊急時のバックアップ機能強化策として、既に事業着手している沼南調整池設置事業が年度内の通水を目指し最終段階を迎えることとなります。また、取水場自家用発電設備等の大型の更新工事に着手する予定としているほか、導・送水管路全体を計画的に更新していくための作業も引き続き実施することとしています。なお、北千葉広域水道企業団においても、放射性物質の監視は継続していくこととしています。
以上、29年度の水道事業の経営方針を申し上げましたが、議員の皆様の一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。