令和3年度水道事業経営方針
近年、水道事業は人口減少などに起因する水需要の縮小により、料金収入の減収や施設の効率性低下が進む一方で、老朽化した水道施設の更新等に多大な資金を必要としており、多くの水道事業者は厳しい経営環境に置かれています。
国は、水道事業者が将来にわたって安全な水を安定的に供給できるよう、経営基盤の強化を図るため、平成30年度に水道法の大幅な改正を行いました。
このような国の動きを踏まえ、本市では平成31年3月に「我孫子市水道事業ビジョン」や「我孫子市水道事業基本計画」を策定しました。
令和3年度は、これらの計画の実施3年目となります。これまでに引き続き、我孫子市水道事業ビジョン等に掲げた施策の着実な執行を図りつつ、収支バランスに留意して事業を推進することを本市の水道事業経営の基本とします。
水道事業の本旨は、水道を取り巻く時代や環境がいかに厳しくあろうとも、その変化に的確に対応しつつ、水質基準に適合した水が、必要な量、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、安心して利用可能であり続けるということであります。
また現在、全国的に新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況が続いておりますが、水道局では安全な水道水を安定的に供給するよう、不断に経営努力をしてまいりますので、ご理解ご協力の程、よろしくお願いいたします。
それでは、令和3年度の主な取り組みについて、我孫子市水道事業ビジョンに掲げた「安全」、「強靱」、「持続」の3つの基本目標ごとに、ご説明いたします。
はじめに『安全』については、<良質な水道の維持>を基本方針として、施策を実施します。
水道局は令和元年度から「我孫子市水道事業水安全計画」を運用しており、令和3年度も、総合的な水質管理とリスクマネジメントに水安全計画を活用し、水質検査を的確に実施します。また高度浄水処理施設及び連続自動水質監視装置の保守点検や配水管の洗管作業などの業務も行います。
自己水源である取水井の計画的な機能保全については、井戸内部のテレビカメラ調査を行います。
さらに湖北台浄水場の原水及び水道水の放射性物質測定や市内の貯水槽水道の適切な管理促進も引き続き実施します。
このほか新たな配水管布設工事として、都市計画道路3・4・14号手賀沼公園・久寺家線整備工事に関連し、緑地区において約400メートルの配水管の布設を行います。
2つ目の「強靱」については、<施設強靱性の維持>と<災害対応の強化>の2つを基本方針として、施策を実施します。
水道管路については、学術評価等を踏まえた管網解析に基づいて、更新の優先度が高い管種から順次、耐震化を進めております。
令和3年度は、白山、つくし野、泉、古戸の4地区において、経年劣化配水管路の耐震化を図るため、延長約3千600メートルの布設替え工事を行います。また、重要給水施設への供給にかかる基幹管路耐震化に向けた実施設計を行います。
浄水場設備については、適正規模での設備更新と長寿命化に向けた計画的修繕工事を併せて進めております。
令和3年度は、令和元年度から3カ年計画で進めてきた湖北台浄水場系取水井遠方監視制御設備更新工事を完了させるとともに、3つの浄水場において計画的に設備の修繕工事や保守点検を実施します。
災害対応の強化については、職員の災害等への即応能力向上のため、水道局独自の訓練を引き続き実施してまいります。
また、市が実施する総合防災訓練などでは、地域住民の方々にもご参加いただく応急給水訓練を行います。
また、非常時に県や近隣の水道事業者とスムーズな連携が取れるよう日ごろから情報共有を図り、日本水道協会の情報伝達訓練などにも積極的に参加します。
3つ目の「持続」については、<水道事業の継続性の確保>、<財政健全性の確保>、<将来につなげる新施策の考察>の3つを基本方針として、事業を実施します。
水道事業継続性の確保では、「我孫子市水道事業アセットマネジメント」を活用して中長期的な設備更新需要を見通し、安定した事業運営を進めてまいります。
業務の効率化では、浄水場維持管理業務と料金・給水・会計業務の包括委託を引き続き行います。受託した民間事業者の技術を活用し、さらなるお客様サービスの向上と業務の効率化を図ってまいります。
また、水道局の組織力強化のため、局内のベテラン職員から若手職員へ、これまで集積してきた知識や技術が継承できるよう日々の業務で指導を行うとともに、外部研修を活用して人材育成に取り組みます。
財政面では、基本計画に掲げた管路や浄水場設備の更新工事を推進するため、企業債を活用し費用の平準化を図りますが、借入に際しては収支バランスに十分留意し、財政規律の確保を徹底してまいります。
また、水道事業経営に関わる運営手法や新しい水道技術に関しては、全国の最新の知見や先進水道事業者の動向に注視し、参考になる事案の情報収集を行います。
最後に、北千葉広域水道企業団の経営概況と令和3年度の主な事業について申し上げます。
本市が水道用水の供給を受ける北千葉広域水道企業団は、令和2年度から令和11年度までの10年間を計画期間とする第15次経営戦略に基づき、計画的かつ効率的な事業運営を推進することとしています。
令和3年度は、重点施策として「導・送水管路更新の計画的な推進」と「既存施設の現況に即した保全工事及び更新工事の着実な実施」を掲げ、当該事業を着実に推進するとしています。
なお、北千葉広域水道企業団においても原水・浄水の放射性物質の監視については、引き続き行うこととしています。