2012(平成24)年第1回市議会定例会(3月議会)施政方針〔後半〕
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- はじめに
- 東日本大震災の復旧・復興
- 放射能対策
- 重点プロジェクト1「手賀沼をはじめとする我孫子ならではの自然を大切にし、環境にやさしいくらしをはぐくむまちづくり」
- 重点プロジェクト2「我孫子の資源をいかし、豊かな地域を創りだす活力あるまちづくり」
- 重点プロジェクト3「みんなが安全にくらせるまちづくり」
施政方針〔後半〕
重点プロジェクト4「若い世代に魅力ある子育てしやすいまちづくり」
重点プロジェクト5「誰もが生涯をとおして、健康で自立した生活を安心しておくれるまちづくり」
重点プロジェクト4は「若い世代に魅力ある、子育てしやすいまちづくり」です。
我孫子市が持続可能なまちとして発展していくためには、若い世代にずっと住み続けてもらえるよう、また、我孫子に移り住んでもらえるようにすることが大変重要です。そのため、子育てしやすいまちをめざし、子育てや子育ちへの支援、公共交通の利便性の向上などに取り組み、若い世代に魅力あるまちづくりを進めていきます。
24年度は、保育園の待機児童ゼロの堅持に向けて、保育需要の大きい我孫子地区で2つの私立保育施設が開園します。4月に、我孫子駅北口で「ぽけっとランドあびこ保育園」が開園し、ここでは家庭での保育が一時的に困難となった児童を保育園で預かる「一時預かり事業」も行います。我孫子駅南口では、「めばえの森認定子ども園」が6月に開園する予定です。東あびこ保育園は、現在、園舎の建替え工事を行っており、定員を30人増やして、5月から新しい園舎での保育を始めます。こうした新たな開園と建替えにより、市内の保育園全体で定員が240人増えることになります。
保育施設の充実では、24年度に根戸保育園の地権者による園舎の建替えが行われます。現在の園庭部分に建替えるため、支障となる遊具の一部撤去や樹木の伐採などを実施します。また、昨年、市立保育園の遊具を点検し、老朽化が著しく危険な遊具や現在の規格基準に適さない遊具を撤去したため、24年度から2か年で、各保育園に新たな遊具を設置していきます。
我孫子・天王台地区での開設が強く望まれていた病児病後児保育については、11月に開院が予定されている(仮称)名戸ヶ谷あびこ病院において、病後児だけでなく病児も対象とした保育事業を開始し、子育てと仕事の両立を支援していきます。
子どもの居場所づくりでは、子どもたちの健やかな成長を図るため、6月に市内4校目のあびっ子クラブを湖北台西小学校で開設します。5校目となるあびっ子クラブについては、保護者や学校からの要望、地域性なども考慮しながら、25年度からの開設に向けた検討を進めます。
学童保育室の充実では、東日本大震災を受け、メールによる情報伝達を確保するため、17全ての保育室に携帯電話を配置します。また、急速に入室希望者が増加している四小学童保育室を学校敷地内に新築するため、学校や保護者と意見交換を重ねながら、25年度の建設に向け、設計業務等の準備を行います。さらに、特別な配慮が必要な児童の増加に伴い、保護者と指導員との面談やあびっ子クラブへの巡回を新たに行うなど、心理相談員の巡回相談業務を拡充します。
子育ち支援では、23年度実施した「まちづくり探検隊」に参加した子どもたちから、スゴロクで我孫子を知ってもらいたいという提案が出されました。この提案を受けて、我孫子をPRするスゴロクを作り、学校やアビシルベ、イベントなどを通じて配布していくことにしました。市内の小中学生の協力を得ながら、秋頃の完成をめざします。
母子家庭への支援では、母親の就業を支援する新たな事業を始めます。この事業は、看護師や理学療法士などの養成機関で2年以上修業する母子家庭の母に対して、修学期間中の生活費の負担軽減のため給付金を支給するとともに、養成課程修了後に入学支援修了一時金を支給するものです。24年度は、延長された「安心こども基金」を活用します。
子ども医療費の助成については、現在、市では、中学3年生までの入院・通院に対して助成を行っていますが、受給券による現物給付での助成は小学3年生までとなっています。しかし、今年の12月から、入院に対する県の助成が中学3年生まで拡大されるのに伴い、中学3年生までの入院医療費は現物給付となり、保護者の窓口負担が軽減されることになります。なお、引き続き、通院に対する助成対象年齢の拡大を県に要望していきます。
地域公共交通総合連携計画の推進では、23年10月に実証運行を開始したあびバス根戸ルートの検証・改善を行うとともに、あびバス新木ルートの見直しに着手します。また、あびバスの運賃についても見直しを進めます。なお、湖北駅北口駅前広場への路線バス乗り入れについては、県施工の湖北駅停車場線の拡幅後に、阪東バスが乗り入れを予定しています。
常磐線・成田線の利便性向上の取り組みでは、引き続き常磐線特別快速の我孫子駅への停車と、常磐線快速電車の増発を強く求めていきます。また、松戸市、柏市、取手市と連携して、25年度中に予定されている常磐線の東京駅乗り入れと東海道線との相互直通運転が確実に実現されるよう働きかけるとともに、1本でも多く東京駅に乗り入れられるよう要望していきます。成田線の増発については、引き続き沿線自治体と連携して、JR東日本に強く働きかけていきます。
重点プロジェクト5は「誰もが生涯をとおして、健康で自立した生活を安心しておくれるまちづくり」です。
地域でのつながりや支えあいなど共助機能が低下する中、誰もが住みなれた地域で、家族や地域の人々と関わりを持ちながら、心身ともに健康にくらしていくことを望んでいます。そのため、誰もが生涯を通じて健康でいきいきくらせるよう、健康診査や予防接種の充実、介護予防や食育の推進、スポーツを楽しむ機会の充実など、市民の健康寿命を延ばす取り組みを進めていきます。また、障害を持つ人や高齢者をはじめとする全ての人が住みなれた地域で、自立して安心してくらせる環境づくりを進めていきます。
24年度は、第4次健康福祉計画「生き生きあびこしあわせプラン」の前期計画の見直しを行い、来年4月からスタートする後期計画を策定します。見直しにあたっては、市民参加による福祉総合計画推進協議会や、高齢者、障害者、ひとり親・児童の3部門の福祉推進市民研究会で検討し、市民の多様なニーズに対応した計画としていきます。
障害者への支援では、社会福祉法人ひろがりが、新たな日中活動の場として現在の福祉サービス事業所みずきに定員20人の生活介護施設の増築を予定していることから、25年4月の開設に向けて財政的な支援を行います。また、障害者の住まいの場として、定員20人のケアホームの整備が予定されていることから、24年度中の開設に向けて財政的な支援を行っていきます。
特別養護老人ホームの整備では、23年度の開設をめざして整備を進めてきた定員100人の広域型特別養護老人ホームについて、関係機関との協議等に時間を要したため、来年3月の開設をめざして整備を進めます。また、24年度から3か年を計画期間とする「第5期介護保険事業計画」に基づき、新たに定員100人の広域型特別養護老人ホームの整備事業者を公募し、26年度中の開設をめざします。
認知症対策では、認知症高齢者グループホームを湖北地区と布佐地区にそれぞれ1か所整備します。また、今後さらに認知症高齢者の増加が予想されることから、認知機能の評価ができる機器を導入するなどして、早期発見・治療につなげていきます。
高齢者なんでも相談室については、高齢者やその家族の方がより身近な場所でさまざまな相談ができるよう、4月に我孫子地区、天王台地区、湖北・湖北台地区の3か所で、委託方式により開設します。これにより、すでに開設している布佐・新木地区、市役所内と合わせて5か所が整備されます。この相談室を市民に十分活用してもらうため、積極的なPRを図ります。
健康寿命を延ばす取り組みは、これまで、病気の原因となる危険因子を予防・改善する事業を中心に進めてきました。しかし、市民自らが若い時から健康づくりに関心を持って取り組むことがより重要なことから、そうした環境づくりに向け具体的な検討を始めます。また、高齢者の肺炎球菌予防ワクチン接種への助成や、特定健康診査の検査項目の追加などの取り組みも実施します。さらに、歯と口腔の健康づくりは、生涯を通じて自分の歯で噛んで食べることで、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症を予防するなど、健康寿命を延ばし、健康で質の高い生活を営む上で重要な役割を果たしています。そのため、歯と口腔の健康づくりを進めるための条例を、新たに6月議会で提案できるよう取り組みます。
健康診査の充実では、特定健診や長寿健診が市民にとって魅力のある健診となるよう、新たに腎機能検査、心電図検査、貧血検査を市独自の事業として受診者全員に実施します。これにより、受診率の向上を図り、生活習慣病の発症リスクを低減していきます。また、妊婦健康診査については、引き続き14回の健診を無料で行うことにより、妊婦の健康管理の充実や経済的負担の軽減を図ります。
予防接種の充実では、引き続き、子宮頸がん予防ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの3つのワクチン接種にかかる費用について、国の補助を活用して全額助成し、疾病の予防を図るとともに、保護者の経済的負担を軽減します。また、肺炎は、高齢者の死因第4位の疾病で、リスクの高いものとなっていることから、新たに、75歳以上の市民を対象に肺炎球菌予防接種事業を実施します。事業は、予防接種を受けた方に2,000円を補助するもので、8月からの実施をめざします。
救急医療体制の充実では、医療法人蛍水会が、市内で6つ目の救急病院となる(仮称)名戸ヶ谷あびこ病院を開院する予定です。市では、今後も医師会や医療機関と連携しながら救急医療体制の充実を図っていきます。
以上、重点プロジェクトに沿って述べてきましたが、次に、主な都市整備について申し上げます。
我孫子駅前土地区画整理事業では、手賀沼公園・久寺家線の旧千葉銀行前の道路改良工事に向けて、支障となるNTT電柱とガス管の移設工事を行います。
我孫子駅北口土地区画整理事業では、換地処分に向けて最終の換地計画書の変更、換地計画書の縦覧、権利者への換地処分通知の発送を行います。
布佐駅南側のまちづくり事業では、公園用地2か所の用地取得と、都市計画道路3・5・23号の一部約200メートル区間の拡幅用地を取得します。
手賀沼公園・久寺家線の整備では、現在までに78パーセントの用地を取得しています。未取得用地の2件のうち、旧千葉銀行側の用地については、地権者の内諾が得られたことから、24年度の早い時期に契約を締結していきます。残りの1件についても、引き続き地権者と交渉を進めます。工事については、23年度に引き続き、取得済み用地のうち110メートルの区間で擁壁工事と道路整備工事を実施します。
湖北台地区の公共施設整備では、庁内の整備検討組織での検討結果を踏まえ、市の基本的な考え方を示す整備方針案の最終的な調整を行っています。今後、この整備方針案に基づき、地域住民の皆さんや議会との合意形成を図りながら、24年度中に最終的な整備方針を決定し、公共施設の整備に着手していきます。
湖北駅北口駅前広場の整備では、昨年5月に本体工事が完了し、残る電線共同溝への電線の引き込みと、電柱を除去する工事については、県が行う湖北駅停車場線工事と同時に行うことで、24年度中に全ての工事が完成する予定です。また、県施工の国道356号の工事についても、24年度での完成をめざし進められています。
新木駅の自由通路と南北口のエレベーター・エスカレーターの整備では、JR東日本千葉支社との基本協定を23年度中に締結する予定で協議を進めています。24年度は、この基本協定を踏まえ、実施設計を行い、工事に着手していきます。
下新木踏切の改善については、暫定的な安全対策として路肩のカラー舗装を23年度中に完成させる予定です。24年度は、事業着手に向けて地権者の理解が得られるよう事業説明や用地交渉を進めていきます。
また、新木駅北口自転車駐車場用地の借地部分については、24年度に用地を取得します。
下水道の整備では、下水道整備5か年計画により、24年度も引き続き、我孫子3丁目、中峠台、湖北駅北口周辺地区の整備を進めていきます。久寺家汚水中継ポンプ場については、手賀沼北部第二幹線に汚水を直接流入させるための切替工事を行います。ポンプ場はこの工事の後、市の防災備蓄倉庫として有効活用を図っていきます。
次は、広域行政の推進です。
柏市との公共施設の共同設置に向けた検討では、ごみ処理施設について、昨年8月にまとめた「柏市・我孫子市一般廃棄物広域処理研究会中間報告書」に基づき、24年度も引き続き、収集や施設の維持管理にかかる経費の増減比較をはじめ、両市の財政負担や財源などについて検討していきます。
文化会館については、21年度から柏市と共同設置の可能性について検討を開始し、昨年8月には両市の担当職員による研究会を設置して検討を進めてきました。しかし、1月に開催した研究会において、柏市から、東日本大震災を踏まえ、現在の文化会館の耐震化や老朽化への対応が早期に必要なことから、現施設を改修して今後も使用していく方向で検討しているという報告がありました。そのため、改めて、両市で共同設置の方向性について協議し、4月を目途に結論を出していきたいと考えています。
手賀沼・手賀川活用推進協議会では、24年度に、効果的で実現性の高い取組みテーマを選定し、市民団体、事業者、商工会、大学、国、県などと連携しながら、民間活力を活用した事業手法の導入について検討していきます。なお、協議会では、11月を目途に中間報告書を取りまとめる予定です。
みどり園の改築工事については、これまで基本設計と実施設計を完了し、2月から管理棟と日中活動棟の本体工事に着手しています。完成は今年8月の予定です。その後、既存の管理棟を解体し、この跡地に居住棟と自立推進棟を建設するための工事に着手していく予定です。
最後は、行財政改革です。
行政改革の取り組みでは、24年度からの3か年を計画期間とする第2次行政改革推進プランを策定します。新たなプランでも、財政基盤の確立に重点を置き、「歳入の確保」と「行政のスリム化・効率化」を柱とし、具体的な改革項目を定めて取り組んでいきます。
常勤職員の定員管理については、24年度から3か年を計画期間とする第五次定員管理適正化計画を23年度中に策定します。計画では、東日本大震災からの復旧・復興と放射能汚染対策を最優先に取り組み、市民の皆さんが一日でも早く震災前の生活を取り戻し、安全で安心してくらせるよう、必要な人員を確保していくものとします。
近隣市との職員人事交流については、引き続き柏市、印西市と行う予定です。また、職員の視野の拡大や、専門的知識の習得、人的ネットワーク形成のため、新たに、国土交通省関東地方整備局と消費者庁に職員を派遣します。
事業仕分けについては、24年度も引き続き、必要な見直しを行いながら実施していきます。
提案型公共サービス民営化制度については、23年度は、8件の提案が寄せられ、3件が採用となりました。このうち、24年度は「公共施設包括管理業務」と「国保年金課の窓口業務」の2事業を実施します。また、引き続き、制度の必要な改善を行った上で募集を行います。
公共施設包括管理業務は、54施設の維持管理業務を一元化するものです。設備の定期点検等の通常業務に加え、専門技術者による中短期修繕計画の作成、管理情報の共有システムを加えた上で包括委託し、コストの削減を図るとともに、さらなる施設管理の適正化に努めます。なお、地元業者の育成についても十分配慮していきます。
国保年金課の窓口業務は、国民健康保険の資格の得喪や給付申請、税の説明や受領などの事務を一元化して委託するものです。民間ノウハウを窓口業務に活用し、国保事務全体の効率化を図っていきます。実施は、来年1月を予定しています。
また、市民サービスと業務の効率化を図るため、事務室の再配置を行います。具体的には、西別館に子ども部と健康福祉部を配置し、福祉部門を一本化します。また、東別館には、建設部と都市部を配置し、庁舎分館には、手賀沼課や放射能対策室を含めた環境経済部を配置します。西別館4階にある監査委員事務局は本庁舎2階に移します。
公社の今後の方向性については、これまで、公社活用検討委員会で、指定管理者制度の導入や公益法人制度改革など、公社を取り巻く環境の変化を踏まえながら、検討を進めてきました。その結果、今後も赤字傾向が続き厳しい経営環境にあることや、現在の体制で新たな事業を行うのは困難であることなどの理由により、公社の存続は難しいとの結論に至りました。今後、公社では、この報告を受け、今後のあり方について判断することになります。
以上で施政方針を終わりますが、議員の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。