遠坪遺跡
東西に長い我孫子の台地の中央部に位置し、北に利根川を望む台地上にあります。
現在の並木5丁目付近にあたります。
1982~2014年(昭和57~平成26年)に5次にわたる発掘調査が行われました。
縄文時代中期、奈良時代、近世の遺構をもった複合遺跡で、集落跡が見つかっています。
遠坪遺跡発掘風景
出土遺物
深鉢
加曾利E3式
口径:21.0センチメートル
高さ:32.1センチメートル
底径:6.0センチメートル
縄文時代中期後半の土器です。
胴部がくびれていて、ひっくり返したヒョウタンのような形をしています。
全体に縄文が施されていますが、胴部上半には比較的粗い縄文を、下半には比較的細かい縄文を施すことによって装飾効果を出しています。
また口縁部には竹管状の工具による刺突がぐるりと一周施されています。
発掘調査写真
縄文時代の竪穴式住居です。
中央にやや赤く焼けた炉を中心に、円形に配置された柱穴がみられます。
3次調査時に検出された住居跡の遺物出土状況です。
円形に掘り下がっている部分が住居跡で、その内部にたくさん散っている破片が出土遺物です。
住居内の手前寄りに円形に見えるものがありますが、これは全体が埋まっていて口縁部だけが見えている状態の土器です。これは当時の縄文人によって埋められたもので、このように住居に意図的に埋められた土器を埋甕といます。住居の入り口付近に設置されることが多いようです。
土器を埋めていた理由ははっきりとはわかっていませんが、胎盤の埋納、あるいは幼児の埋葬に用いられたものだという説があります。