R3-22要望書(手賀ワイルドライフ・レスキューチーム)
団体名
手賀ワイルドライフ・レスキューチーム
陳情・要望年月日
令和3年10月14日
陳情及び要望事項
要望書
私たちはそれぞれに印西市発作地域に入り、コブハクチョウの存在に触れ、通うようになった仲間の集まり【手賀ワイルドライフ・レスキューチーム】です。
千葉県手賀沼流域で「近年、コブハクチョウが増えて水田に上がり問題になっている」とのニュースにも成り、一部の農家さん達が短絡的な「駆除」を声高く叫ぶのを耳にし、結果を予想できる現場を知るものとして、仲良しのお米農家さん達の為にも真剣に「コブハクチョウによる農業被害対策」に取り組んでおります。
今年令和3年は稲刈りがおおよそ終わった現時点におきまして、印西市発作地区におけるコブハクチョウ(令和3年10月7日現在、同地区で143羽の生息を確認)の田植えシーズンには柏市区域に数羽を確認しましたが、稲穂が実る時期には水田侵入ゼロを達成いたしました。来年の春の田植えシーズンには、水田へ飛行して侵入する個体にはクリッピングを施して発作地区に放鳥してもらうよう、役所へ働きかけ、完全なる農業被害ゼロを目指す覚悟で取り組んでまいります。この活動は世界的にも認知され始め、令和3年9月17日より開始したSNS発信でも手応えを感じております。
(フォロワー数、Instagram2,817名、Facebookいいね!1,321名/フォロー1,896名)イギリスの団体を筆頭に多くの方々からの応援、支援を日々受けております。これは下記記事における手賀沼全域で、最も生息数の多い発作地区での農業被害を根絶することになります。
『県農村振興課によると、周辺の市から報告された農業被害は2019年度、柏市で642アール、我孫子市31アールなど、6市合計で706アールに上った。被害総額は約840万円になる。
我孫子市鳥の博物館によると、コブハクチョウはカモ科の鳥でユーラシア大陸の中緯度地域に広く分布し、成鳥では全長150センチ程度になる。手賀沼で初めて観測されたのは1973年。外来種のため、飼育されたものが逃げ出したか、人為的に放たれたものだという。90年には繁殖も確認された。その後増加し、現在は170羽程度が生息しているとみられる』
(朝日新聞デジタル"「かわいい」と餌やり・・・・・2021年6月1日より引用)
また、本年度は、関係各市のご担当者様たちの農業被害に対する数々のご尽力及び対応は、周知しております。
しかし、私たちの活動の手の届かない手賀沼本体(生息数は発作地区よりだいぶ少ない17羽程度(北柏ふれあいこうえん5羽、大津川1羽、手賀沼公園5羽、高野山新田旧ふれあい市民農園~手賀沼水質自動監視室付近3羽、手賀川千間橋付近3羽))の中で、高野山新田・手賀沼水質自動監視室東隣の田んぼにおいて、旧市民農園がコスモス畑となり草刈後コブハクチョウの好物であるクローバーの発芽が鈍くなった9月初旬頃から、旧市民農園付近に生息していた4羽が自動監視室東側の水田に移動し、侵入が確認されるようになりました。目算では、面積で2~3アール、その範囲の三~四割程度の稲を啄ばんだのではないかと感じています。
更に稲穂が実る時期には1羽が行方不明になり3羽程度が残って変わらず二番穂を捕食していました。
稲刈りが終わったからいいのではないか。3羽程度なら被害金額が少ないからいいのではないか。当該水田の農家から被害届が出ていないから問題ない。そんな風に思われるかもしれませんが、遊歩道を利用する市民から上記のような大規模農業被害に結びつけたような「農業被害だ!」という発言が聞こえたり、SNSで稲穂を蝕むコブハクチョウとしてその写真が掲載されたり、鳥獣被害農業被害の主犯であるかのような印象を、今後も引き続きマスコミの偏見とも言える報道を繰り返されてしまいます。
更に言えば実際には、コブハクチョウの農業被害は、13羽の飛来が報告されている香取市(平成30年5月の報告数。今年7月の当チームメンバーの観察では4羽を確認)ではもっとも少なく、鳥獣の中での被害額は最下位であり、スズメよりも少ない金額です。
『令和元年度の野生鳥獣による農産物被害額の内訳について、被害額の多い順にお答え申しあげます。当該年度は、イノシシによる被害額が一番多く、サツマイモと水稲で141万5,950円となっております。次に、キジによる被害額は、サツマイモで12万4,440円、次に、スズメによる被害額は、水稲で9万1,000円、次に、コブハクチョウによる被害額は、水稲で7万8,000円、最後に、ハクビシンによる被害額は、サツマイモで6万8,442円となっております。これら合計では177万7,832円となります』
(害獣対策について|香取市議会議員 千年 正浩氏プログ 2020年9月18日より引用)
香取市の例から見ても被害金額のもっとも少ないコブハクチョウが、鳥獣農業被害のアイコンであるかのようにマスコミに扱われ、風評として悪印象を持たれているのは、コブハクチョウが白昼堂々と白い大きな体で水田の中に入ってしまうからです。小さなスズメが大群で押し寄せてもそれほど驚かれることもなく、イノシシが夜間に荒らしても気付かれることもありません。私たちは、マスミの印象操作によって悪者にされ続けるコブハクチョウの実態、生態を正しく理解して頂きたいと熱望いたします。
私たちの活動する発作地区では、親鳥が雛に水田への侵入を教えなければ、雛が水田に入ることはないということもわかってきました。被害届の有無や被害金額の大小に関わらず、今食い止めておけば、親鳥から教わった習慣からの農業被害も将来に渡って減らしていくことが可能です。
また、コブハクチョウは鳥類学的に括れば外来種かもしれませんが、元は『財団法人皇居外苑保存協会が、外苑のお濠で飼育しているコブハクチョウは、皇居外苑に深い関心を寄せられる有志の方々によって結成させられた「ハクチョウをお濠に放つ会」(会長東京動物園教会々長高碕達之助氏)から当協会(会長一万田尚登)に対し寄贈されたもので、昭和二十八年十二月独逸より長途の航海の後、横浜港に陸揚げし、同月二十六日高松宮、同妃両殿下台隣の下に、お濠に放たれたモノデアであって、その数は二十四羽であった』
(お濠の白鳥-コブハクチョウとその飼育 昭和三十二年三月二十日発行財団法人皇居外苑保存協会より引用)にあります通り、観賞用として輸入され親しまれてきました。
しかし、手賀沼流域では2019年度に無対策で放置され続けたコブハクチョウの農業被害に対して農家が各マスコミに訴え、報道されることになり悪玉外来種として受け止められるようになってしまいました。その後2020年度2021年度には、各市が大胆に対策を講じ、そして私達も本気で対策に乗りだし、現在では農業被害は殆ど防げる状況となっておりますが、相も変わらず2019年度のままのように、アンデルセン童話「みにくいあひるの子」、バレエ作品「白鳥の湖」で誰もが知るコブハクチョウがいつの間にか実態とは駆け離れた悪者にされた儘です。
しかし、山中湖のように観光資源として積極的に活用している事例もございます。荒川区の荒川自然公園では区民の要望で亡くなったコブハクチョウの代わりのコブハクチョウを購入飼育しています。オオハクチョウ、コハクチョウのような渡り鳥は冬しか飛来しませんが、留鳥であるコプハクチョウは年間を通じて手賀沼に留まり、近隣住民にも親しまれています。愛嬌があり、人懐こい個体も多く、また仕草振る舞いは時にバレエの白鳥の湖のように見えることもあります。英語でMuteswanと呼ぶように鳴き声も小さくやかましいこともありません。こうした特長を活かせれば、湖沼観光、農業観光への広告塔として活躍することも間違いありません。他方、注目されているコブハクチョウに対して、間違った対応をしては、霞ヶ浦で発生した「野鳥を殺す茨城県のレンコンは買わない」といったような大規模な不買運動がここ手賀沼流域から千葉県全体に及び千葉県のお米に対してSNSから発信され悪評が起きない保証はありません。コブハクチョウと人間との軋轢、農業被害を無くして、野鳥に優しい千葉県のお米農家だということを声高に主張し、共存を目指して頂きたく、そこで、9月24日に我孫子市役所農政課、広瀬様にコンタクトを取り、私達に出来る対策を申し出ましたが、役所内で協議をしていただき、結果、今のままで良いのでとのお断りのご返事を頂き私たちが対策の作業することは出来なくなりました。
私たちは、コブハクチョウの農業被害を無くし、悪者のレッテルを払拭し、近隣住民、周辺農家、コブハクチョウ、そしてインバウンドとなる観光客、買物客が円満に手賀沼を利用し、湖沼観光や農業観光を通じて手賀沼一帯を活性化し繁栄させるため、以下の対策を要望いたします。
【要望事項】
1.高野山新田地区での対策
(ア)手賀沼水質自動監視室附近東側田んぼ前の侵入防止柵の設置
(イ)高野山旧ふれあい市民農園の公園エリア・クローバー生域のコブハクチョウへの開放
(1)近隣住民とのふれあいの場とする
(2)委託業者による草刈は半面ずつ交互にする
(ウ)高野山旧ふれあい市民農園の公園エリア近隣田んぼへの侵入防止柵の設置
(エ)手賀沼水質自動監視室附近東側にいる3羽の高野山旧ふれあい市民農園の公園エリアへの移動
2.上記1が不可の場合の代替え案
(ア)手賀沼水質自動監視室附近東側にいる3羽のクリッピンク(切羽)を施して頂きこの3羽を印西市発作地区への移動して頂きたい。
3.手賀ワイルドライフ・レスキュー活動内容のご理解と手賀沼全域での活動支援
《会の目的》
コブハクチョウの愛好者団体である『手賀ワイルドライフ・レスキューチーム』の準備・運営の業務を円滑に進め、人間とコブハクチョウとの軋轢「農業被害」を無くすことに努め、平和的な共存を目指します。個体数調整や拡散防止、生息地管理、農業被害防除を組み合わせた「ワイルドライフ・マネジメント」という考え方で順応的に進める活動を行うことを目的とします。
1,「個体数管理」数を減らす:印西市手賀川流域を交代で毎日コブハクチョウの見回りを行い、繁殖時期ペアの巣の場所及び産卵状況を把握し、各市役所担当課に情報提供することにより、市の行う巣の破壊、卵の廃棄及び偽卵対策による数の制御を助ける。
更に、誕生数及び死亡記録を報告し数の管理をする。(現在バードリサーチへの報告実行)
2,「被害管理」水田への侵入を無くす:農家の承諾及び農家の依頼により発作近郊で田に入らない為の柵(竹)の設置、及び設置作業手伝いをする。
3,「生息地管理」及び「被害管理」今いるコブハクチョウの管理:発作区域の多数のコブハクチョウのたまり場に、農家の大切な稲や稲穂を食されるのを防ぐ為に、代替餌場を設置し、毎日餌やりを行い空腹で田に向かうのを防ぐ。欧州では農業被害対策として広く用いられている、ここ発作区域でも巣及び卵の破壊などにより雛の誕生を抑制しながら、川に留まらせる策として用いる。代替え餌場の設置に関しては、数の管理で適正数まで減少するまでの間が適切である。
4,「生息地管理」水田に上がる原因を探り、打開策の設置:発作地域にクロバーの草原を作る:田へ侵入する目的は草を食べるため、あぜ道の草が刈られると稲に向かう。そこで川岸に草原があればその場に留まる。草刈りをし、草原を広げる作業を行う。(これは今後、所有者の許可を求めていく)
5.「他地域へ広げない」:毎日の見回りと上記対策で他地域への拡散を防ぐ。
以上、ご確認の上、何卒ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。
回答部課
環境経済部農政課
回答年月日
令和3年11月25日
回答内容
1.高野山新田地区での対策
(ア)手賀沼水質自動監視室附近東側田んぼ前の侵入防止柵の設置
(回答)手賀沼水質自動監視室付近東側田んぼへの侵入防止柵の設置については、手賀沼と遊歩道の間に侵入防止ネットを設置しています。
(イ)高野山旧ふれあい市民農園の公園エリア・クローバー生域のコブハクチョウへの開放
(1)近隣住民とのふれあいの場とする
(回答)高野山旧市民農園跡地のコブハクチョウへの開放については、同跡地は、市民の憩いの場として景観作物を栽培していることから開放は考えていません。
(2)委託業者による草刈は半面ずつ交互にする
(回答)委託業者による草刈りを半面ずつ行うことは維持管理上できません。
(ウ)高野山旧ふれあい市民農園の公園エリア近隣田んぼへの侵入防止柵の設置
(回答)高野山市民農園跡地付近の田んぼへの侵入防止柵の設置については、耕作者へ要請し、耕作者の判断で柵を設置しています。
(エ)手賀沼水質自動監視附近東側にいる3羽の高野山旧ふれあい市民農園の公園エリアへの移動
(回答)コブハクチョウの移動については考えていません。
2.上記1が不可の場合の代替え案
(ア)手賀沼水質自動監視室附近東側にいる3羽のクリッピング(切羽)を施して頂きこの3羽を印西市発作地区への移動して頂きたい。
(回答)上記(エ)の考えです。