企画展「明治時代の仏教青年 『新仏教』の足跡」
今から150年前、大政奉還、そしてその翌年に明治へ改元。その前後10年ほどの間に生まれた人々は、初めて近代教育を受けて育った世代です。その世代の青年たちに注目するため、明治5年生まれの杉村楚人冠をはじめ、雑誌『新仏教』を舞台に活躍した青年たちを紹介した展示です。
明治150年記念関連事業。
展示期間
平成29年7月11日(火曜日)から平成29年10月1日(日曜日)
展示内容
『新仏教』の誌面、杉村楚人冠の文章、当時のペンネームは縦横
1 自由討究で鍛えた論客たち
『新仏教』を発行した新仏教徒同志会の重要な方針の一つは、宗教の自由討究でした。そこで鍛えた論客たちは、やがて文筆で、講演で活躍することになります。ここでは中心メンバーから、のちにジャーナリストになる杉村楚人冠、仲間の本を自分の出版社から世に送り出した高島米峰、仏教学者として活躍する境野黄洋、演説の名手だったの加藤咄堂の4人を紹介しました。
鈴木大拙訳『大乗起信論』
2 海外に行った仏教青年
『新仏教』に海外から原稿をよせた青年もいます。のちに仏教学者として活躍する鈴木大拙と渡辺海旭の二人の書簡と著書を展示しました。
結城素明画楚人冠肖像
3 雑誌『新仏教』を彩った人材
『新仏教』に載っていたのは論客たちの評論ばかりではありません。挿絵をのちの東京美術学校(現在の東京芸術大学)教授結城素明が担当していたり、伊藤左千夫をはじめ根岸会の同人の短歌が掲載されていたりもしました。結城が描いた楚人冠の肖像と、伊藤の書簡を展示しました。
堺利彦の葉書
4 『新仏教』周辺の人々
『新仏教』には会員と交流がある人々も登場します。そのなかから社会問題への関心などを共有した社会主義者の安部磯雄、幸徳秋水、堺利彦、スリランカの仏教運動家ダルマパーラを紹介しました。