企画展「明治時代の世界一周旅行 -楚人冠の「世界一周会」」
展示概要
今から110年前に開催された「朝日新聞世界一周会」。
船と鉄道で欧米をめぐるこの旅行は、実は日本で初めての海外パックツアーといえる、画期的なものでした。
その企画者こそ杉村楚人冠でした。果たしてどんな旅行だったのか?
この展示でご紹介しました。
展示期間
平成30年10月14日(日曜日)から平成31年1月14日(月曜日・祝日)まで
1 世界一周会まで
行程表
楚人冠がこの企画を思い立ったのは、明治39年(1906年)の朝日新聞満韓巡遊船という旅行企画の随行と、明治40年(1907)年のイギリス特派を経験していたからでした。
そして、その企画を実現するために欠かせなかったパートナーが、世界的な旅行代理店のトーマス・クック社でした。
2 アメリカ横断
世界一周会の本に掲載されたセオドア・ルーズベルトの写真
太平洋を渡った一行は大陸横断鉄道でアメリカ東海岸へでます。大学や証券取引所など、今の観光旅行とはだいぶ趣の違うところも見学しています。
そして、アメリカでの最大の話題は、ホワイトハウスでセオドア・ルーズベルト大統領と会見したことでした。
3 イギリスの歓迎
サットン・プレースでの記念写真
イギリスでも王立取引所や議会など様々な場所を見学します。
一方で、ライシアム・シアターで「ロミオとジュリエット」の観劇に招待されるなど、様々な歓迎を受けました。
『デーリー・メール』社長のノースクリフ卿は、前年に楚人冠と親交を結んでいたので、16世紀の建築を利用した別荘サットン・プレースに招待してくれました。
4 パリからイタリアへ
パリの路線図
イタリアやパリでは、路線図やガイドブックなどの資料が残っています。自由時間には大いに役立ったことでしょう。
また、楚人冠にとっては原稿を書く上でも欠かせない資料であったはずです。
5 ドイツ、ロシア、そして帰国
ベルリン、サンクトペテルブルグ、モスクワなどを見学した一行は、シベリア鉄道と航路を乗り継いで、帰国しました。
世界一周会参加者同士の交流は、旅行の後まで続いたことがわかっています。
そこで、参加者のなかから、当時の東京府議会議長杉原栄三郎、野村證券の創業者野村徳七の後年の書簡を展示しました。
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