テーマ展示「てがみ展 楚人冠の友人たち」
展示概要
幅広い人脈を持っていた杉村楚人冠の友人たちから送られた手紙を紹介し、それぞれの手紙から伝わる、友人と楚人冠の関係や、人柄が伝わる展示としました。
展示期間
2016年5月21日(土曜日)から7月10日(日曜日)まで
展示内容
1 毛利清雅(柴庵)
和歌山県田辺の高山寺住職で、地方新聞「牟婁新報」社主。杉村楚人冠をはじめとする、新仏教運動の担い手が力を入れていた、釈尊降誕会についての手紙からは、当時の仏教青年のキリスト教への対抗意識が伝わります。。
2 藤井宣正
浄土真宗の僧侶で、教師。大谷光瑞の命でインド探検に参加。埼玉県尋常中学校(現・県立浦和高校)校長時代に、前任の本願寺文学寮で同僚だった楚人冠を英語教師に誘った手紙を展示しまました。
3 堀内文次郎
軍人。オーストリアのレルヒ少佐が日本で初めてスキーを教えた新潟県高田の歩兵第58連隊の連隊長として、スキー導入に貢献。そのころ、楚人冠がスキーの取材に来たことを回想する絵葉書を展示しました。取材を「君がカンジキで怒った時だ」と振り返る文面に、堀内の人柄がしのばれます。
4 石井菊次郎
石井・ランシング協定の締結で高名な外交官。楚人冠が第一次世界大戦の取材でヨーロッパに特派されたとき、駐仏大使として交流。このときのエピソードを含む楚人冠の著作『戦に使して』を送られたときの礼状を展示しました。
5 土岐善麿
歌人、ジャーナリスト。石川啄木晩年の親友。東京朝日新聞ではコラム「今日の問題」などいくつかの仕事で楚人冠のあとを継いでいます。楚人冠が編集した伝記『濱口梧陵伝』を土岐が手伝ったことを「恐縮に値」すると述べ、楚人冠への敬意が伝わる手紙を展示しました。
6 濱口擔
実業家。津波から村民を救った逸話「稲むらの火」で知られる濱口梧陵の末子。楚人冠とは円覚寺の釈宗演のもとでともに禅を学んだ仲。共通の旧友の死に際して、お互いに健康に気をつけよう、と呼びかける手紙を展示しました。
7 野村長一(胡堂)
『銭形平次捕物控』で知られる小説家、音楽評論家。もとは新聞記者の野村が、ジャーナリストとして先輩である楚人冠から小説の感想を送られて、感激した心境を記した手紙を展示しました。楚人冠より10歳下で、同じ新聞記者の野村にとって、楚人冠が憧れの存在だったことが伝わる文面のものです。